10日のNYダウは2.82ドル高。ほとんどの時間はマイナスで、かろうじて地下鉄に1回乗れるだけの小幅高で終えても4営業日連続史上最高値更新。NASDAQ総合指数は1.76ポイント上昇。しかしS&P500は-0.48で5日ぶり小反落。モメンタム銘柄はネットフリックス1.2%高、リンクトイン4.6%高、フェイスブック4.6%高、ツイッター2.6%高など大部分が上昇し「危機の5月」からしっかり回復途上にある。11日朝方の為替レートはドル円が102円台前半、ユーロ円が138円台後半で円高が進行していた。
前日発表の5月の工作機械受注速報値は前年同月比24.1%増で8ヵ月連続のプラス。気象庁のエルニーニョ監視速報は、まだ発生していないが5年ぶりに夏に発生し秋まで続く可能性が高いという予報。取引時間前発表の4~6月期の法人企業景気予測調査・景況判断指数は-14.6で6期ぶりのマイナスになり市場予測を下回ったが、7~9月は+13.4と急回復が見込まれる予想。5月の国内企業物価指数は前年同月比+4.4%で4月から0.3ポイント上昇し5年7ヵ月ぶりの高い伸びになり、市場予測の+4.1%を上回った。
シカゴCME先物清算値は15015円。新聞各紙が朝刊で「JA全中の権限を縮小し農業を5年で集中改革」「岩盤規制にメスを入れ2016年度に混合診療を導入」「『ホワイトカラー・エグゼンプション』で年収1000万円以上は労働時間規制の適用除外検討」「技能実習の規制緩和で外国人雇用を推進」など新・成長戦略を競って報じられた。日経平均は5.33円高の15000.13円で始まる。大台割れの時間は14998円だった直後15秒間だけ。TOPIXはプラスで始まりマイナスに落ちない。日経平均は小刻みに一進一退を繰り返しながら値を切り上げ、午前9時30分に15072円のピークをつける。その後は徐々に水準を切り下げても小動きが続く。MSCIは韓国と台湾の「先進国指数」への格上げを今年も見送り、中国本土市場のA株銘柄の組み入れも行わなかった。台湾株は下落、韓国株は上昇で、上海、香港市場の序盤はマイナス。日経平均は10時台後半に一時15020円近辺まで下落するが、11時台に15050円付近まで戻し、前引は15037円だった。
後場は、前場活発だった日経平均先物の9月限へのロールオーバーも落ち着き、現物指数はおおむね15040円台の狭いレンジでの静かな値動きが午後1時20分頃まで続く。その後は少し下がり15030円台で小動き継続。「荒れるSQ週の水曜日」は、今月は前日の火曜日が全部肩代わりしたかのよう。2時30分頃から上昇が始まり日経平均は15050円に乗せる。TOPIXは高値を更新し、最後はともに急騰して大引け1分前に高値を更新するが、終値は抑えられ日経平均は74.68円高の15069.48円で15000円台を1日で取り戻した。日中値幅は77円。TOPIXは+10.34の1239.07。売買高は17億株、売買代金は1兆6308億円で、依然として薄商い。
値上がり銘柄は全体の69%の1267、値下がり銘柄は400。32業種が上昇し下落は1業種。プラス上位は鉱業、保険、銀行、情報・通信、その他金融、機械など。プラス下位は非鉄金属、小売、パルプ・紙、その他製品、精密機器など。マイナスは不動産だけだった。
日経平均採用225種は値上がり175銘柄、値下がり38銘柄。プラス寄与度1位はソフトバンク<9984>で+7円、2位はKDDI<9433>で+6円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-4円、2位はダイキン<6367>で-2円だった。
メガバンクはみずほ<8411>2円高、三菱UFJ<8306>9円高、三井住友FG<8316>75円高と好調で銀行セクターは業種別3位。ノンバンクのアイフル<8515>は売買高、売買代金とも1位と売買が非常に活発で、33円高で年初来高値を更新し値上がり率8位に入った。自動車は日産<7201>が5円高、ホンダ<7267>が17円高、「デミオ」に燃費リッター30キロの新型ディーゼルエンジンを搭載するマツダ<7261>は8円高。自動車部品関連はTPR<6463>が148円高で年初来高値を更新し値上がり率12位。タイヤの東洋ゴム工業<5105>は3年で1300億円の投資計画を発表したが、財務に懸念を持たれたようで18円安だった。
電機大手は日立<6501>12円高、東芝<6502>8円高、パナソニック<6752>5円高、シャープ<6753>1円高とおおむね順調。アップル関連で「iPhone5」用コネクターを供給する日本航空電子工業<6807>は70円高で上場来高値を更新した。オンキヨー<6628>はティアック<6803>株の一部を売却と発表し、保有比率は10%から1%に低下するが資本・業務提携は継続。それと別にシーメンス系の補聴器会社との提携も発表して6円高になりティアックは4円高。
通信関連は好調でNTT<9432>は売買代金14位で170円高、NTTドコモ<9437>は同12位で28円高で年初来高値更新、KDDIは80円高、ソフトバンクは64円高。4月のスマホ出荷数は前年同月比73.4%減だったが、携帯電話販売の日本テレホン<9425>は4月期通期の売上高、各利益項目を大幅に上方修正。ストップ高の400円高で4日続伸し年初来高値を更新した。
鉄鋼セクターの特殊鋼メーカーの愛知製鋼<5482>と大同特殊鋼<5471>は、クレディスイスがレーティングを引き下げ愛知製鋼は15円安で値下がり率6位、大同特殊鋼は19円安で同7位。鉄スクラップ価格や電気料金の上昇などこの業界は「6重苦」だという。リンナイ<5947>は上場来高値を更新して340円高で終えた。