NISA制度の改正に向けて、政府が検討を開始した。使い勝手の悪い点や、非課税枠が100万円と小さい点など、NISA制度の総合的な改善に着手した。
NISAとは今年1月から開始された小額投資非課税制度のことだ。低金利の続く日本では、預貯金だけでは結婚や育児、老後へ向けた資産形成に対して不安が大きい。そのため、株式や投資信託へ個人がもっと参加しやすい環境を整えるべく開始されたものだ。
NISAは専用の取引口座を証券会社などに開設することによって利用できる。上場株式や投資信託に年間100万円を上限に新規投資を行うことができ、NISA口座での取引によって得られた譲渡益や配当に対しては5年間非課税となる。
しかし、口座開設に住民票が必要であったり、金融機関の変更が4年間不可能であるなど不満点も多かった。また、そもそも非課税枠をもっと広げて欲しいとの声や、損益通算を認めるべきとの指摘もある。
改正の実現性としては、口座開設に住民票は不用となる見通しで、金融機関の変更も年に一回可能となることがほぼ決定している。また、肝心要の非課税枠については200万円から300万円の間で協議が続いているようだ。その他の改正ポイントについても今後具体的な発表が随時行われるであろう。
現政権の高い支持率の背景に強い株価の上昇があるのは間違いない。前政権時には1万円を維持することすらままならなかった日経平均が、安倍政権発足後2013年5月には15000円を回復。その後も底堅く推移している。政府はこの大切な株価上昇をNISA改正によって更に力強いものとしたい考えだ。
貯蓄から投資への流れは徐々にではあるが確実に強まっている。ネット証券の台頭により、個人でも株や投資信託、債権等々、金融商品へアクセスするためのハードルは確実に下がっている。しかし一方で、金融や経済に対する理解が不十分な国民が多いのも事実。そのため非合理的な取引や、高すぎるリスクを知らぬ間に背負ってしまい、思わぬトラブルに巻き込まれてしまうケースも多い。
今後は制度の充実と共に、正しい金融リテラシーを身に付けるための啓蒙活動にも国は力を入れるべきであろう。(編集担当:久保田雄城)