5月の完全失業率、16年5ヶ月ぶりの低水準

2014年06月30日 08:23

当たり前の話だが、仕事がないとお金が入らない。お金が入ってこないと、物を買うことができない。「物を買うことができない」人が増えると、企業にお金が入ってこない。企業にお金が入ってこないと、人を雇うことができない。このように「雇用」とは経済を円滑に回すための重要な要素であり、それが安定的に供給されないことには日本経済の復活もあり得ない。

 そうした雇用の現状を示すデータの一つが完全失業率なのだが、27日、総務省は5月の完全失業率(季節調整値)を発表。それによると前月比0.1ポイントマイナスの3.5%と改善し、1997年12月の3.5%以来、16年5ヶ月ぶりの低水準となったことが分かった。景気回復を背景に、企業の間で人手不足感が強まったことが今回の結果に繋がったとみられている。

 失業率を男女別に見てみると、男性が3.7%、女性が3.4%であり、完全失業者数は前年同月比37万人ダウンの242万人であった。これで48ヶ月連続でのマイナス。総務省は今回の結果について、「雇用の持ち直しの動きが続いている」との見解を示している。

 就業者数(原数値)は前年同月比57万人アップの6397万人で、17ヶ月連続でのプラス。また雇用者数は前年同月比37万人アップの5591万人であった。雇用形態別に見てみると、正規の職員・従業員の数は前年同月比1万人アップの3324万人で、非正規は前年同月比30万人アップの1921万人であった。

 また15~64歳における就業者数の割合は前年同月比1.2ポイントアップの73.0%であり、統計可能な68年1月以降で最も高い数値となった。育児を終えた女性の就業や、シニア層の定年後の再雇用が増加したことが寄与したとみられる。

 そして同日に厚生労働省が発表した5月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0.01ポイントアップの1.09倍であり、18ヶ月連続でのプラスとなった。バブル経済が崩壊した92年6月の1.10倍以来、21年11ヶ月ぶりの高い水準であった。そして正社員の有効求人倍率も04年11月の公表開始以来、最も高い前月比0.02ポイントアップの0.67倍であった。

 仕事の「量」は改善されつつある。あとはその「質」の改善が課題だ。低コストで人手を集め利益を挙げようとすると、すき家の人手不足による閉店騒動のような問題が起きる。そうではなく、労働環境や教育環境の質を高め、その結果、事業の質の向上につながり利益がもたらされる。これから求められるのはそんな形の雇用ではないだろうか?(編集担当:滝川幸平)