ユーロ圏のインフレ率が大幅な下方修正した訳

2014年04月06日 20:36

 ユーロ経済圏の消費者物価指数が0.7%であるとユーロスタットが示し、インフレ率が下方修正された。この修正を受け、市場ではユーロ経済がデフレーションに陥る懸念がおこり、経済成長にも遅れが出るのではないかという危惧が示されている。

 ギリシアの危機に端を発したユーロ危機に対しては様々な政策が採られてきたが、そのうちの金融緩和、経済成長は最も重要な政策であり、ギリシア、ポルトガル、スペインなど広範囲に適用されてきた。ユーロ経済圏は一国の経済問題が全体に波及してしまう恐れがあることから、欧州中央銀行の示す目標であるインフレ率2%もユーロ圏で共有されている。

 日米と比べると、日本の金融緩和については2013年の「アベノミクス」が効果を示し、日経平均株価が大きく改善したことが挙げられる。ところが、成長戦略についてはインパクトに欠き、市場の期待をアベノミクスほど高めることができていないのが現状である。また、米国も失業率が徐々に改善してきているが、その煽りを受けて、就業の実態の把握、金融政策の方向性の明確化などが求められている。

 ユーロ圏は経済規模としては日本はもちろんのこと米国さえ上回り、意思決定も全く異なることから、日米と比較することは慎重な態度が必要である。しかし、「ユーロ危機」というイメージを払拭して市場の期待を獲得するためにも、アベノミクスや失業率改善といった華やかなデータを示したいのはユーロ圏も同様であるはずだ。

 今回のインフレ率の下方修正は、成長が下方修正されたと言い換えることはできないものの、依然として金融緩和に課題が残り、成長戦略も必要であることが示されている。期待が高まりマネーが集まること、そして実体の伴う緩やかな成長、と繋げたいのはすべての国家で共通している。ただし、ギリシアの経済危機から「インフレ率の下方修正」まで改善されてきていることは素直に評価できるのではないか。(編集担当:久保田雄城)