日立製作所が、ブラジルにおいて、社会イノベーション事業を軸に一層の事業強化を図るため、今後2015年度までに約240億円の投資を行うと発表。2015年度のブラジルにおける連結売上高を、2011年度の4倍にあたる1200億円に拡大することを目指す。
新グローバル化推進計画において、11地域を注力地域に選定し、各々の地域における事業強化を図るべく現地主導型の体制構築を推進している日立。中でも南米最大の経済規模を誇るブラジルは、中華人民共和国やインド共和国とともに高い経済成長が見込まれている。こうした中、日立は、2011年10月に日立グループ総合展示会「Hitachi Exhibition 2011-New Solutions for Better Business」を開催するなど、ブラジル市場におけるプレゼンスの向上を図っているほか、2011年5月には、日立プラントテクノロジーが前川製作所とブラジルにおける圧縮機事業の協業について合意。同年10月には日立国際電気がブラジルの放送用送信機メーカーであるリネアール社の株式100%を取得し、さらに同月には、日立建機が米国ジョン・ディア社と油圧ショベルの製造・販売の合弁会社を設立するなど事業拡大に向けた様々な施策を展開している。
今後は、モノレールなどの鉄道事業における現地企業との製造拠点設立の検討を進め、ガスタービンや環境装置などの火力発電所関連事業の拡大を進めるほか、データストレージ事業をはじめとする情報・通信事業における営業力の強化を図るなど、社会イノベーション事業拡大に向けた施策を実施、研究開発をはじめとした各種の投資も積極的に行う予定だ。
2009年はリーマンショックの影響を受け、実質GDP成長率がマイナス0.3%となったものの、2007年は6.1%、2008年は5.2%、2010年は7.5%を高い経済成長をみせていたブラジル。2011年は2.7%、2012は2.5%と予測されているなど、その勢いに陰りが見られるものの、2014年のFIFAワールドカップ、2016年のリオデジャネイロ夏季オリンピック開催に向け、今後も継続したインフラ投資が予定され、成長の加速も予測される。この成長をどこまで追い風とすることが出来るか、今後の動向に注目が集まるところであろう。