厚生労働省は22都道府県102福祉事務所を対象にした生活保護の実態調査の結果を踏まえて、2日までに勧告を行った。
生活保護受給者は平成23年206万人。平成14年(124万人)に比べ、過去10年で1.7倍に増加した。保護費も3.5兆円と1.6倍になった。一方で、不正受給は平成23年3万5568件となり、過去10年の4.3倍。金額も173億円と3.2倍に膨れ上がった。
こうした背景から、保護申請に対する迅速・的確な処理を求める一方、不正受給事案についても処理を迅速に行うよう勧告した。あわせて、就労支援事業の的確な見直しを図り、保護からの脱却を促進するよう勧告している。
このうち保護申請に対する迅速処理では平成20年から24年の102事務所の申請約25万件からの抽出で470件のうち267件にあたる57%が申請者の手持ち金が1万円を割っていた。一方で申請処理に14日を超えたものが全体の36%にものぼっていた。生活保護を早期に開始しなければ所持金なしの生活を余儀なくされ、食料品さえ買えない状況も予想され、悲劇を防ぐためにも迅速処理が求められる。一方で、保護開始時から不正受給のケースも1割近くあった。
こうしたことから、各種調査の実態把握、問題事案の原因分析、改善策の検討とともに金融機関や生命保険会社への早期照会対応などが求められた。(編集担当:森高龍二)