生活できる「最低賃金水準」に議論及ばず

2014年07月31日 10:10

 日本共産党の志位和夫委員長は中央最低賃金審議会が地域別最低賃金の引き上げ目安に全国加重平均「16円増」で田村恵一厚労大臣に答申したことについて「これでは764円が780円で、2.1%増。消費増税分にも届かない」と引き上げ幅が少ないとし、「中小企業への手当と一体に大幅引き上げをすべき」と訴えている。社民党も自給1000円以上にすべきと訴え続けている。

 志位委員長は「米政府は10.10ドル(1030円)に引き上げを提案。 ドイツでは8.5ユーロ(1165円)の全国一律最賃導入」をしていると強調する。

 社民党の照屋寛徳国対委員長は「消費税が5%から8%に増額され、物価上昇率も3%を超えた。今春闘で大手企業では約2%の賃上げがあったが、多くの中小企業にはアベノミクスの効果も、株価上昇や賃上げの効果も全く及ばない。日本(沖縄を含む)の労働現場風景は一変し、民間も公務労働の場も非正規雇用が増大。パート、臨時、アルバイトも増大している」と雇用の実態の厳しさを指摘。そのうえで「最低賃金を大幅に引き上げ、非正規雇用労働から正規雇用への転換をはからねば真の意味での少子高齢化社会の対策、女性の社会参加も進まない」と懸念する。

 連合の神津里季生事務局長は「過去最大の上げ幅であり、5都道県の生活保護水準との乖離はすべて解消されることとなったが、生活できる最低賃金水準にまで議論が及ばなかったことは遺憾」としている。

 神津事務局長は「審議会では使用者側は中小企業・小規模事業者を取り巻く環境の厳しさを繰り返し強調し、目安額の引き上げは慎重に行うべきと強く主張した」としている。一方、労働側として「生活できる水準、仕事に見合った賃金としての適正水準について議論を深めるべきであると強く主張したが、(最終)10月1日に新水準での最低賃金を発効させることを優先した」という。(編集担当:森高龍二)