政府の経済財政諮問会議は、「50年後に人口1億人を維持する」との方針を打ち出した。とはいえ現在すでに、日本人の4人に1人が65歳以上の高齢者。おまけに子供を産む年齢層の女性が減っていくため、少子化を止めることは難しい。
46年後の2060年には、2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上のお年寄りとなる。現在は高齢者1人を現役世代(15~64歳)2.3人で支えている計算だが、46年後には、高齢者1人を現役世代1.3人で支えることになる。
今のお年寄りは、全体的にみれば豊かだ。内閣府の「平成26年版 高齢社会白書」では、60歳以上の高齢者に対し「暮らし向き」について尋ねているが、「心配ない(「まったく心配ない」と「それほど心配ない」)」と感じている人が71%にのぼる。80歳以上では「心配ない」が8割だ。彼らは下の世代と比べて貯蓄もあり、持ち家率が高い。世帯主が65歳以上の平均貯蓄額は2209万円(あくまで「平均」という点に注意が必要ではあるが)。これは、全世帯平均の約1.3倍だ。貯蓄の目的は「病気・介護の備え」が6割以上と最も多く、国や子供の援助に頼らず自分で何とかしたいとの思いも透けて見える。
内閣府の「国民生活に関する世論調査」では、「老後の暮らし方」として最も支持率が高いのは「子どもたちとは別に暮らす」で34.2%。「どの子(夫婦)でもよいから同居する」は5.8%にすぎない。こうした意識も反映されているのか、一人暮らしの高齢者の割合は男性11.1%、女性20.3%。この30年間で男性は2倍以上、女性も2倍に増えた。
「子供たちに頼らなくても、自分たちの蓄えで何とかやっていける」お年寄りがそれなりにいる一方、生活保護を受ける高齢者も年々増えている。11年のデータでは、65歳以上で生活保護を受けている人の割合は2.63%。全人口に占める割合(1.58%)を上回る。今は豊かなお年寄りが多くても、私たちが年齢を重ねた数十年後、どうなっているかは全くの未知数だ。(編集担当:北条かや)