欧州でまもなく発表される新型VOLVO XC90は、四輪駆動・7シーターのプレミアムSUVだ。同時に、広範囲かつ最先端の安全技術を採用するセーフティ・パッケージを標準装備する。
ボルボは、「2020 年までに新しいボルボ車の交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする」という安全目標「ビジョン2020」に取り組んでおり、今回XC90への新技術の採用は、その達成に向けた第1歩だという。
新型VOLVO XC90に標準装備されるセーフティ・パッケージには、ふたつの世界初となる安全技術が含まれている。それは道路からの逸脱に対応する「ランオフ・ロード・プロテクション」と、交差点等での「出会い頭衝突を未然に防止する自動ブレーキ」だ。この新技術が安全システム搭載で、新型XC90は安全なプレミアムSUVとしてマーケットに登場する。
「ランオフ・ロード・プロテクション」とは、ドライバーの不注意や疲労、悪天候などの要因から、道路からクルマが逸脱する事故から乗員を守るシステムだ。日本ではあまり考えにくいのだが、北米の道路のように変化がない淡々と数100kmにわたってひとりで運転する場合に多い事故のようだ。アメリカの交通事故死の半数は道路逸脱によるという。スウェーデンでも乗用車の交通事故において、重傷もしくは死亡事故の3分の1が単独事故だという。
こうした数字を踏まえて、ボルボは独自に道路逸脱事故発生時に乗員を守る技術「セーフ・ポジショニング機能」を開発した。この機能は、道路逸脱の発生を素早く検知し、車両が停止するまで運転席と助手席のシートベルトを自動的に強く巻き込んで乗員を適切な位置に固定し保護する機能。また、道路から逸脱したクルマが勢いよく路面に着地する際に、シートとシートフレームクッションの間に設けたエネルギー吸収機能が衝撃を低減させ、道路逸脱による事故で頻繁に発生する重大な脊椎損傷の危険性を低減する。
またXC90には道路逸脱を防ぐための技術も導入された。「レーン・キーピング・エイド」だ。車両が車線を逸脱しそうになった場合、車線内に留まるよう、ステアリングにトルクを加えて進路を修正する。「ドライバー・アラート・コントロール」は、ドライバーの疲労や不注意を感知して警告するシステム。
画期的なのは、世界初の安全技術である「交差点などで効果的な自動ブレーキ」だろう。交差点を右折しようとする際に、対向車線を向かってくる直進車と衝突の危険を察知し、自動ブレーキを作動させるシステムだ。衝突を回避または、衝突を避けられない場合でも被害を軽減する。
ボルボの交通事故研究チームは1970年から交通事故調査を続けており、データベースには4万3400件の交通事故に関する情報が収録されている。実際に起きた事故の研究を通じて得られた情報をもとに、ボルボは衝突時に高い安全性を提供するクルマづくりを実践してきた。今後もボルボの交通事故研究チームは事故車の調査はもちろん、ドライバーの行動や事故発生時の状況を総合的に分析し、安全なクルマの開発に注力する。(編集担当:吉田恒)