TMG開発の「トヨタ86」WRC参戦車両を発表、ドイツでデモ走行

2014年08月04日 08:21

GT86 CS-R3

トヨタ86ラリーカー、トヨタ「GT86 CS-R3」のプロトタイプ車。2リッター水平対向エンジンは250psまでチューンアップ、6速シーケンシャルシフトを採用、車重は規定ギリギリの1080kgに抑えている

 ドイツ・ケルンに本拠を置くトヨタモータースポーツ有限会社(TMG)が独自に開発中のトヨタ86ラリーカー、トヨタ「GT86 CS-R3」のプロトタイプ車が、ドイツで行なわれる世界ラリー選手権(WRC)第9戦(8月21日~24日)でデモ走行をするという。

 このトヨタ86ラリーカーはWRCのR3カテゴリーに適合するよう開発中の車両で、今回、90年代後半にセリカGT-FourをドライブしてWRCで活躍した女性ラリードライバー、イゾルデ・ホルデリート氏がドライブする予定だ。

 今回のドイツラリーでは、このGT86 CS-R3は競技そのものには参加せず、コースの安全確認のために各ステージを先発走行する、いわゆる「ゼロカー」として出走する。また、プロトタイプ車としての評価とホモロゲーション(認証)取得前の最終仕様確定に向けた改良も目的としている。

 なお、TMGが手掛けるGT86 CS-R3は、WRCの新カテゴリー「R3C」用のマシン。6速シーケンシャル・ギアボックスを装着し、エンジン、ブレーキ、エアロを改良するなど、R3の規定に沿って開発される。

 搭載する水平対向2リッターエンジンは、エンジンマネージメントソフトの書き換えやカムリフトなどのチューンで250ps程度の出力を得たという。ただし、駆動方式は市販モデルのままの後輪駆動。車両重量は最低規定重量の1080kgに収まる模様。「TMG ヤリス(日本名:ヴィッツ)R1A」同様、プライベーター用として供給される予定だ。

 トヨタ車の国際ラリー参戦といえば、1975年にTMGの前身であるトヨタチーム・ヨーロッパ(TTE)を主宰したオベ・アンダーソン氏を思い出す。75年に参戦したその年の1000湖ラリーで初優勝を飾った。マシンはカローラレビンだった。このころ、日本のTV・CMでは、アンダーソン氏がコルシカ島のワインディングでKP61型トヨタ・スターレットを豪快にドライブする映像を使っていた。当時のKP61は日本国内のラリーシーンで常にトップレベルの走りを見せていた。アンダーソン氏は後のトヨタF1チーム監督にも就任した。TTEは1993年に現在の社名であるTMGに変更となった。(編集担当:吉田恒)