国民の懸念に政府は耳傾けて 9日の長崎平和宣言で

2014年08月08日 06:18

長崎市の田上富久市長は9日の長崎市での長崎原爆犠牲者慰霊平和式典で宣言する「平和宣言」について7日までに語った。「核兵器廃絶を求める被爆地の声として、できるだけ多くの市民の皆様に共感をいただけるように考慮しながら推敲した」とし「宣言文冒頭で原子爆弾投下による被害の実態を説明するとともに、長崎を最後に、これまで核兵器が使われなかったことについて被爆者が果たしてきた役割の重要性を表明する」。

 また、田上市長は「日本の安全保障のあり方の議論をきっかけとして、国民の中に広がった平和への不安と懸念の声に対し、真摯に耳を傾けるよう日本政府に要請することとした」と集団的自衛権の行使容認の閣議決定に対しあがっている国民の懸念や不安に真摯に耳を傾けることを求める考え。宣言文には集団的自衛権の文言が入る。「閣議決定など具体の内容には触れない」という。

 また、「東京電力福島第一原子力発電所事故の被災地の現状に触れ、復興への願いと支援を表明」する。田上市長は宣言文後半で「日本政府に被爆者援護政策の充実を求めるとともに核兵器廃絶に向けた決意を宣言する」とした。

 宣言文は10カ国語に翻訳して、ホームページに掲載し、世界中に向けて発信する。田上市長は「核兵器のない世界の実現という被爆地の願いをしっかりと長崎平和宣言を通じて、世界の人々に伝えていきたい」と9日の平和式典に臨む。(編集担当:森高龍二)