今年で6回目を迎えるキッズデザイン賞。今回は東日本大震災を受け、『復興支援デザイン部門』も新設されるなど新たな試みも見られ、過去最高の応募数を記録した。
キッズデザイン賞とは「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」、「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」、「子どもたちを産み育てやすいデザイン」の顕彰制度。乳幼児用品や玩具などの子ども向けの製品・サービスだけではなく、大人向けでありながら、子どもの目線を持つ商品や施設、プログラム、調査研究活動なども対象となっており、受賞作品は”キッズデザインマーク”を使用することが可能となる。
過去には、第3回に大賞・経済産業大臣賞を受賞した三菱電機の「蒸気レスIHジャー炊飯器」のように、この賞をきっかけに多くのメディアに露出し大ヒットするというケースもあり、社会的な認知度も年々大きくなっている。
今年は過去最多の377点という応募があり、そのうち8部門で250点の作品が受賞した。そして、7月31日にはこの中から、経済産業大臣賞の最優秀作品4点などが発表される。
さて、今年の受賞作品だが、様々な企業や団体、規模の大小に関わらず、幅広い分野でのプロジェクトが多く見られた。
『子ども視点の安全安心デザイン(子ども部門)』では、NTTドコモのキッズケータイ「HW-01D」をはじめとする27件が受賞、『子ども視点の安全安心デザイン(一般部門)』ではパナソニックの天井埋込形ナノイー発生機「エアイー」ほか40件が受賞した。パナソニックは今回、連名を含む4部門で最多の15件受賞しており、同社のように、1社で複数受賞するケースも少なくない。
他の部門では、今年新設された『復興支援デザイン部門』が注目を集める。
これは、東日本大震災の被災地の子どもたちに対し、”安心して笑顔のある暮らし”を1日でも早く取り戻してほしいという考えのもとに設けられた部門で、この復興支援活動を対象にしたプロジェクトでは23件が受賞した。「明日のノート!Project」で受賞したコクヨは、避難所などで被災者にメッセージノートとして使用されていた同社の「キャンパスノート」を、被災地の子どもたちの夢や希望を書き綴るアイテムとして活用したもので、オフィシャルページでも多数紹介している。
このように震災を教訓とし、それを子どもたちに伝えるプロジェクトは他部門にも存在する。
『子どもの未来デザイン リテラシー部門』では、「井戸堀り大作戦 ~ガチャポンを現代に」というプロジェクトのアキュラホームをはじめ、36件が受賞した。同社のこのプロジェクトは、各地域で井戸を掘り、自然水の有効活用と水資源の大切さを伝えることを目指したもので、特に災害時などに地域に役立ててもらうことを想定している。そして、子どもたちに地下から”ガチャポン井戸ポンプ”を使用して水が出てくる不思議体験を通し、環境意識や自然科学への興味を喚起することも目的としている。
被災地に向けたメッセージ性の高い部門を新設するなど、このキッズデザイン賞は社会的にも非常に大きな意味を持ち、ますます価値あるプロジェクトに発展する可能性を秘めている。回を重ねるごとに、その知名度も上がってきており、今後どのようなプロジェクトが子どもたちにとって大きな役割を果たすのか非常に楽しみである。