企業物価指数(CGPI)とは、企業間で取引される商品などの価格の変動を示した指数であり、企業間の商品取引の際の価格決定の指針とされるだけでなく、現在の経済の景気がどういう状況にあるのかを判断するための重要な判断材料でもある。つまり、その数値から今の日本の経済状況を読み解くこともできるというわけだ。
そんな企業物価指数であるが、11日、日本銀行が5月の国内企業物価指数(2010年=100.0)の速報を発表。それによれば前月比0.3%アップ、前年比では4.4%アップの106.1という結果であった。4月1日に実施された消費税増税の影響を受け、08年10月の前年比4.5%アップという結果以来となる大きな伸び率をみせた。また消費税分を除いたベースにおいても前年比1.6%アップであり、前月4月の1.5%アップという結果を上回ることとなった。
項目別に見てみると、「電力・都市ガス・水道」が前年比14.1%アップの139.0、「石油・石炭製品」が前年比11.9%アップの137.2、「製材・木製品」が前年比10.8%アップの120.6という結果であった。「電力・都市ガス・水道」については再生可能エネルギーの買い取り制度に伴い家庭の負担が増えたことや、円安などが影響した模様。また「石油・石炭製品」についても円安が影響した。しかしその一方で、「電子部品・デバイス」は前年比1.1%ダウンの89.6という結果であった。
調査が行われた全820品目のうち、前年を上回った品目は435品目であり、下回った品目は302品目であった。こうして前年を上回った品目の方が下回った品目よりも多いという状況は、9ヶ月連続で続いている。円安影響が収まりつつあり、物価押し上げ効果が薄まっているにもかかわらず、こうして指数のプラス傾向が続くことに関して日本銀行は、需要に引き締まりにより価格が下落しにくくなっているのではないかとの分析を行っている。
また、同日に発表された円ベースの輸入物価指数は前年比0.7%アップの126.2であり、前月の2.6%アップから大幅に縮小。そして円ベースの輸出物価指数は、前年比0.8%ダウンの108.2という結果であった。(編集担当:滝川幸平)