【日経平均】何を恐れるのか ドル円106円台でも44円高

2014年09月09日 20:13

 五洋建設<1893>はシンガポールで960億円で大型病院の建設を受注して売買高12位で9円高で年初来高値更新。若築建設<1888>は売買高10位で10円高と続伸し年初来高値を更新して値上がり率16位。飛島建設<1805>は売買高9位で2円高で年初来高値更新。しかし熊谷組<1861>、三井住友建設<1821>、鉄建<1815>など売買高ランキング常連組は下落し、大和小田急建設<1834>が68円安で値下がり率1位になるなど高安まちまちで、建設セクターは業種別騰落率28位とふるわなかった。九電工<1959>は通期の純利益を56億円から76億円に修正するなど中間期と通期の業績見通しを上方修正して212円高で年初来高値を更新し値上がり率1位だった。

 イオン<8267>は九州・山口で食品スーパー41店舗を展開するレッドキャベツ(山口県下関市)を買収・子会社化と報じられたが、野村証券が目標株価を引き下げたので3.5円安で年初来安値更新。三井不動産<8801>は41.5円安、三菱地所<8802>は32円安、住友不動産<8830>は52円安。不動産セクターは業種別騰落率最下位に沈んだが、ケネディクス<4321>が売買高11位、売買代金13位で8円高と健闘していた。

 海運セクターは業種別騰落率4位。日本郵船<9101>は4円高、商船三井<9104>は2円高、川崎汽船<9107>は3年でコンテナ船10隻、約1000億円分を発注という景気のいい話が伝わり2円高だった。JAL<9201>は三菱UFJ証券が目標株価を引き上げ80円高。成田空港国内線に空港施設利用料導入と報じられたが打撃が大きいのはLCC。成田から撤退するスカイマーク<9204>は6円高、ANAHD<9202>は2.2円安だった。第一生命<8750>は東海東京調査センターがレーティングを引き上げ32.5円高だった。

 東京個別指導学院<4745>は46円高で値上がり率4位。電子書籍のイーブック<3658>は2~7月中間期業績見通しを上方修正して198円高で値上がり率2位。前日急騰したWOWOW<4839>は210円安で値下がり率8位。錦織選手は準優勝に終わったが、結果が出れば熱が冷め〃錦織関連銘柄〃軒並み安。年末の大納会のゲストに呼んではいけない。コロプラ<3668>は「白猫」の1100万ダウンロード突破を発表したが60円安。enish<3667>は一時ストップ高の236円高で値上がり率3位。エイチーム<3662>も100円高だったがミクシィ<2121>は110円安とゲーム・コンテンツ関連は高安まちまち。サイバーエージェント<4751>はスマホゲームのプレイ中の動画を録画できるソフトを開発したが65円安。サッカーのゲームをやって日本がW杯決勝でブラジルを破って奇跡の優勝を遂げたら、得点や試合終了や表彰式のシーンを録画して何回も繰り返し見ることができ、日本代表の現実を忘れられる。

 東証2部指数は0.13%上昇。3Dプリンター関連でもあるソディック<6143>は124円高。神鋼環境ソリューション<6299>はミドリムシの量産技術を確立してストップ高比例配分の80円高。ミドリムシと言えばユーグレナ<2931>は20円安だった。医療機器商社のウイン・パートナーズ<3183>は前日に16日付の東証1部への指定替えを発表し106円高で年初来高値更新。5月29日にジャスダックから東証2部に指定替えになり4ヵ月足らずのスピード昇格。大相撲でも横綱になる逸材は十両をスピード通過する。新興市場は日経ジャスダック平均は0.05%下落、東証マザーズ指数は0.93%下落した。

 この日の主役は円安の進行で大幅高が続出した自動車関連。業種別騰落率で輸送用機器セクターは5位だった。完成車メーカーはトヨタ<7203>は20円高、ホンダ<7267>は39.5円高、富士重工<7270>は72円高で年初来高値更新、日産<7201>は6.5円高、マツダ<7261>は40円高。日経平均新規採用いったん見送りのヤマハ発動機<7272>も76円高と反発していた。

 自動車部品の大御所デンソー<6902>は84円高。市光工業<7244>が前日に続き売買高6位と買われ24円高で年初来高値を更新し値上がり率5位。本業の自動車用ランプでも業績は好調。車載情報機器でテーマ物色されるクラリオン<6796>は売買高14位で5円高で年初来高値更新、ティアック<6803>は4円高で値上がり率11位だった。野村証券がベアリングメーカーの投資判断を変更。レーティングと目標株価を引き上げたNSK日本精工<6471>は41円高で年初来高値更新、目標株価を引き上げたNTN<6472>は10円高、ジェイテクト<6473>は84円高で値上がり率13位。いずれも海外市場での業績の伸びを評価されていた。

 タイヤメーカーはブリヂストン<5108>は36円高、横浜ゴム<5101>は4円高、住友ゴム工業<5110>は2円高、東洋ゴム工業<5105>は43円高で、ゴム製品セクターは業種別騰落率3位だった。

 為替の円安は火力発電用燃料の輸入支払いのドル建て代金を増加させ貿易赤字を拡大させることもあり、「円安必ずしも善ならず」の論調がメディアをにぎわせるが、少なくとも裾野が広い自動車産業に限って言えば、「円安は全てを癒す」だった。(編集担当:寺尾淳)