【日経平均】改造内閣閣僚名簿発表で凹んで59円高どまり

2014年09月03日 20:13

 レイバー・デーの3連休明けのNYダウは30ドル安。NASDAQは17ポイント上昇。ISM製造業景況指数は59.0で3年5カ月ぶりの高水準でも、「いいは悪い、悪いはいい」でマーケットは反応薄。このままFRBの利上げまでマクベスの3人の魔女の呪いは続くのか? 午前中はまだ堅調だった株価を午後値崩れさせたのは、EU首脳が「5日に決まる」と漏らしたロシア追加制裁によるヨーロッパの景気悪化懸念だった。ホーム・デポは顧客情報流出問題で2.5%下落。6月のピークから約14%下落しても原油先物の軟調は止まらず、エクソンモービルは1.0%下落、シェブロンは1.5%下落。ドル円はNY時間の序盤に一気に約8ヵ月ぶりの105円突破で、3日朝方の為替レートは105円台前半、ユーロ円も138円台近辺まで円安が進んでいた。

 CME先物清算値は15765円。日経平均始値は129.19円高の15797.79円で、7月31日のザラ場高値15759円を上回って「7月末の戻り高値チャレンジ」終了。TOPIXは1300台を回復。すぐに15800円台に乗せるが10分足らずで再び割り込み、その後は時々大台にタッチしながらおおむね15780~15799円のレンジで推移する。ドル円レートもほとんど変動しない。上海、香港がプラスで始まっても、オーストラリアの4~6月期GDPが前期比0.5%増で成長率が減速しても特に反応はなく、そのまま前場を終了して前引けは15798円だった。

 昼休みに為替がやや円安方向に動き後場は15800円台に乗せて始まる。この段階で谷垣禎一幹事長など自民党三役人事が固まっていた。午後0時38分に15829円まで上昇した後は1時40分頃まで徐々に水準を切り下げるが、そこから15800円を割り込んで2時までに大きく下落。2時、首相官邸で菅官房長官(留任)が第二次安倍改造内閣の閣僚名簿を発表した。麻生財務・金融担当大臣、甘利経済再生担当大臣、太田国土交通大臣、岸田外務大臣は留任し、経済産業大臣は小渕優子氏、厚生労働大臣はGPIF改革に意欲的な塩崎恭久氏、総務大臣は高市早苗氏が就任した。

 これで材料出尽くしなのか2時14分に15726円まで下落する。リカバリーして15780円付近まで上がり、15800円台に戻るかと思いきや、ドル円が急に円高に振れ105円台から滑り落ちると日経平均は折り返してズルズル下落し、2時59分に15723円の安値をつける。終値は始値を下回ったが59.75円高の15728.35円で3日続伸した。日中値幅は終盤下落し3ケタの106円に拡大。TOPIXは+4.52の1301.52で年初来高値を更新した。JPX日経400も+42.84の11806.73で終値ベース年初来高値更新。しかし東証2部指数は0.13%下落し、連騰記録は昨年のそれと並ぶ15でストップした。売買高は24億株、売買代金は2兆688億円で、8月8日のマイナーSQ「オバマ暴落」の日以来18日ぶりに2兆円台に乗せ夏の薄商い記録をストップさせた。

 値上がり銘柄は918で全体の50%。値下がり銘柄は753。20業種が上昇し13業種が下落。プラスのセクター上位は海運、その他金融、銀行、証券、電気機器、空運など。マイナスのセクター下位はその他製品、鉱業、サービス、鉄鋼、パルプ・紙、医薬品など。

 日経平均採用225種は値上がり128銘柄、値下がり86銘柄。プラス寄与度1位は前日発表の8月の国内ユニクロ既存店売上高が前年同月比3.8%増で2ヵ月ぶりのプラスだったファーストリテイリング<9983>で+22円。客数は9.9%減でも客単価は15.1%増だった。2位はNC制御生産拠点に500億円を投資しておもちゃのまちを喜ばせたファナック<6954>で+12円。マイナス寄与度1位はTDK<6762>で-3円、2位は花王<4452>で-2円だった。

 業種別騰落率で銀行セクターは3位、証券セクターは4位。メガバンクは売買代金4~6位に並び、みずほ<8411>1.5円高、三菱UFJ<8306>8.1円高、三井住友FG<8316>26.5円高。野村HD<8604>は5.6円高だった。トヨタ<7203>は17円高。8月の中国市場で新車販売台数が2ヵ月連続で減少したホンダ<7267>は33円高、日産<7201>は6.5円安で、年間販売目標の達成が微妙になっても、日産のパーマー副社長の9月15日付の退社が明らかになっても、「円安は全てを癒す」。富士重工<7270>は売買代金8位に入り89.5円高で年初来高値更新。マツダ<7261>は16円高だった。

 ソニー<6758>は54円高で年初来高値を更新し6連騰。日立<6501>は6円高。トルコで住宅事業を手がけると報じられたパナソニック<6752>は23.5円高。発行した優先株の8割超が普通株に転換と報じられたOKI<6703>は売買高14位で3円高、JVCケンウッド<6632>は同15位で23円高。アルプス電気<6770>はゴールドマンサックスがレーティングを引き下げて59円安で値下がり率11位だった。

 ルネサスエレクトロニクス<6723>はセンサー技術、自動運転技術を応用しドライバーの居眠りを防止する次世代運転システムを開発しストップ高の150円高で年初来高値を更新し値上がり率4位。実用化は2016年以降。横河電機<6841>が値上がり率7位と急伸した材料は人員リストラ。正社員600人の希望退職を募集し今期、リストラ費用を特別損失に計上する見込み。それをJPモルガンが好材料視しレーティングを引き上げ113円高だった。「人減らしは雇用情勢が良い時にやれば良い」と言われるが、本当にそうなのだろうか?