【日経平均】円安進行で突然、炎のごとく上昇し192円高

2014年09月02日 20:17

 9月1日のアメリカの株式市場は「レイバー・デー」の祝日で休場。2日朝方の為替レートはドル円104円台前半、ユーロ円137円近辺で前日よりも円安が進んでいた。

 日経平均は50.34円高の15526.94円と15500円台を回復して始まる。TOPIXもプラス。序盤は値が動かなくなり午前9時50分頃まで15516~15535円の上下19円の範囲。ところが、ドル円が急に円安に動き、それに連動してつむじ風のような上昇が始まる。10時15分頃には15600円突破。各国通貨に対する円安が止まらず10時30分を回ると15650円にもタッチ。上海はプラス、香港は下落で始まるが、10時30分発表の4~6月期のオーストラリアの経常収支は赤字が拡大したもののほぼ市場予測通りで、7月の毎月勤労統計調査の現金給与総額は+2.6%で9年8ヵ月ぶりに2%台をマークして市場予測を大幅に上回るポジティブサプライズ。日経平均は徐々に値を切り上げ、前引けは15676円で前日終値から200円も上昇した。

 昼休み中にドル円は104円79銭まで円安が進行し、後場は15709円と高値を更新し14700円台に乗せて再開する。午後0時38分に15737円まで上昇し、TOPIXは1300台にタッチするが、そこでようやく折り返して15700円近辺まで下げる。その間、「7月末戻り高値」の終値ベース15646円は10時台にすでにクリアし、ザラ場ベース15759円は後場、あと22円まで迫った。1時台から2時台にかけては15700円前後の水準で落ち着いて小動き。オーストラリア準備銀行は政策金利を過去最低の2.5%に据え置いた。1月以来の円安水準がさらに進行してドル円レートは105円に接近し、そのまま15700円台でフィニッシュするかと思いきや、大引け前に利益確定売りが入って後場の上昇を全部打ち消した。先物主導が復活すれば、突然、熱く燃え上がったかと思えば、冷たく落として去ってゆく気まぐれなファム・ファタール(魔性の女)とも付き合わなければならない。

 それでも終値は192.00円高の15668.60円で大幅続伸。日中値幅は前日の5.8倍の221円もあった。TOPIXは+13.94の1297.00。売買高は24億株あったが売買代金は1兆9744億円で惜しくも2兆円に届かなかった。注目の東証2部指数は最後にプラスになり+0.05%で15連騰なお継続中。しかし日経ジャスダック平均は0.21%下落し東証マザーズ指数は1.98%下落した。内閣改造人事、ECBの金融緩和期待、日銀会合などをにらんだ先物トレードが派手に復活し、前日までの小型株、低位株、テーマ株、東証2部、新興市場に偏った地合いから東証1部の大型株、それも日経225採用銘柄へと主役が交代していた。流れは変わったとみていいのか?

 東証1部の値上がり銘柄は1245で全体の68%を占め、値下がり銘柄は467。31業種が上昇し、2業種が下落。プラスのセクターの上位は証券、その他金融、不動産、電気機器、その他製品、輸送用機器など。下位は建設、食料品、空運、卸売など。マイナスのセクターは医薬品、海運だった。

 日経平均採用225種は値上がり194銘柄、値下がり26銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+24円、2位はTDK<6762>で+15円。5位まで「日経平均寄与度四天王」が入り、1~5位で合計70円。マイナス寄与度1位は中外製薬<4519>で-3円、2位はアステラス製薬<4503>で-2円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>3.4円高、三菱UFJ<8306>6.7円高、三井住友FG<8316>76円高と快調。証券セクターは業種別騰落率トップで、野村HD<8604>は14.5円高、大和証券G<8601>は20.9円高、松井証券<8628>は17円高。値上がり率1位にストップ高の80円高で年初来高値を更新したFXのマネーパートナーズグループ<8732>が入っていた。ノンバンクではアイフル<8515>が売買高4位、売買代金6位で20円高と気を吐いていた。

 8月の中国での新車販売は3ヵ月ぶりのプラスで8.9%増のトヨタ<7203>は104円高。ホンダ<7267>は47.5円高、富士重工<7270>は41.5円高、マツダ<7261>は45円高など自動車大手は軒並み高だった。ソニー<6758>はPS4向けの新作ソフトを発表し3.5円高で5連騰し年初来高値更新。パナソニック<6752>は電子部品部門のリストラとして熊本県とインドネシアで生産を終了した光ピックアップの生産をフィリピンに集約し、今期中に部門赤字解消を見込んで10.5円高。日立<6501>は18.3円高と大幅反発し、NEC<6701>は8円高、シャープ<6753>は4円高だった。

 オムロン<6645>は中国などで需要が高まる呼吸器疾患用の吸入器などを製造するブラジルの医療機器大手NS社を約100億円で買収すると報じられ50円高。吸入器ではフィリップスを抜き世界トップシェアになる。アップルの9日の新製品発表会を控えた思惑買いが入り、TDKは三菱UFJ証券がレーティングを引き上げ390円高で年初来高値を更新し値上がり率9位、村田製作所<6981>は550円高で年初来高値を更新し同15位。オリンパス<7733>はゴールドマンサックスが目標株価を引き上げ110円高で年初来高値を更新した。

 群馬県、埼玉県の12市町に2キロおきに気象観測機器を設置してゲリラ豪雨や竜巻などの予測に役立てると報じられた明星電気<6709>は2円高。マザーズの大泉製作所<6618>は140円高で年初来高値更新。三浦工業<6005>は1対3の株式分割、期末配当予想の修正を発表し、分割を考慮すると10銭の増配で95円高で年初来高値更新。クボタ<6326>は2015年から、ヨーロッパでノルウェー子会社のクバンランド製品の販売を強化すると報じられ45円高。トラクターのアタッチメントとして取り付ける作業機の世界的メーカー。NTN<6472>はゴールドマンサックスがレーティングと目標株価を引き上げて24円高で値上がり率16位だった。