【日経平均】約5年11ヵ月ぶりの円安でも結局7.5円安

2014年09月05日 20:23

 4日のNYダウは8.70ドル安。NASDAQは10ポイント下落した。ECB(欧州中央銀行)は理事会で政策金利を史上最低水準の0.05%に引き下げ、10月からABS(資産担保証券)とカバードボンド(債権担保付き社債)の買入オペを始めると決定。FRBの「QE1~3」にならった量的緩和政策に踏み切るだけでなく政策金利も0.1ポイント引き下げたのがサプライズ。ユーロは大幅安でヨーロッパ市場では債券高と金融株中心の株高が進行した。NYダウは序盤に取引時間中の史上最高値を更新したが、ADP雇用統計の20.4万人増が市場予測より下で、新規失業保険申請件数が市場予測よりも悪化すると、雇用統計への不安感でマイナス圏に押し下げられた。

 前日、日銀会合終了後の記者会見で黒田総裁は「雇用が改善し企業業績も好調で投資も積極的」と強気の姿勢を崩さなかったが、「耐久消費財を中心に弱いところもある」「成長率が昨年4月の予想より若干下振れた」と経済指標を気にする発言もあった。日銀が2014年度の経済成長率見通しを現在の1.0%から引き下げる方向で検討に入ったという報道もあった。日銀会合は10月は2回ある。

 安倍改造内閣の支持率は日経は60%、読売は64%に上昇。共同通信は54.9%、毎日は47%。5日朝方の為替レートは取引開始直前に円安に大きく動いた。午前8時40分頃からドル円は105円台前半が後半に、ユーロ円は136円台前半が半ばに。午前中にドル円は105円71銭まで進み、2008年11月以来約5年11ヵ月ぶりの円安水準になった。

 CME先物清算値は15710円。日経平均は主力株中心に堅調で116.46円高の15792.64円で始まる。TOPIXも上昇して1300台に乗せる。しかし「円安は全てを癒す」とはいかず、逆に日経平均は始値が最も高い「寄り天(寄り付き高値)」でズルズル下落する一方。午前9時台のうちに15720円そこそこまで下げ、10時台前半には一時15700円を割り込んでTOPIXはマイナスになった。中国市場は上海が上昇、香港は下落で開始。その後は少し持ち直し小康状態だったが、11時台には再び15700円を下回り、前引けは15702円でTOPIXはマイナスだった。

 後場は前引けから少し上昇して始まるが、日経平均は15720円前後、TOPIXは前日終値前後で小動きする状態が続く。為替レートはドル円は105円台前半に、ユーロ円は136円台前半に戻っていた。変化が出たのは午後1時を回ってからで、TOPIXがまずマイナス圏に深く沈み、日経平均も15700円を割って安値を更新しながら1時21分にマイナス圏に落ちる。為替は徐々に円高方向。日経平均は1時39分に15641円で底を打ち少しずつ値を戻す。2時に7月の景気動向指数速報値が発表され、一致指数は2ヵ月ぶりに0.2ポイント上昇し109.9、先行指数は2ヵ月連続で0.6ポイント上昇し106.5と悪くなかった。

 2時台にはプラスに浮上したが、何度も上値を抑えられる。イベントが多かった今週は前週末から最大約400円も上昇した上に、雇用統計発表直前の様子見に加えて利益確定売りの金曜日で手じまい売りも多い。終盤は前日終値付近でもみあいプラスにのるか、そるか最後までわからなかったが、結局7.50円安の15668.68円と続落し3勝2敗、前週末8月29日の終値から244.09円上昇して今週の取引を終えた。為替レートの円高方向への折り返しに合わせた尻すぼみの一日で日中値幅は151円。TOPIXは-3.18の1293.21。売買高は20億株、売買代金は1兆6980億円で今週、2兆円超えは3日の1日限りだった。東証2部指数は0.05%上昇で3日ぶりに反発していた。

 東証1部の値上がり銘柄は603。値下がり銘柄は1044で全体の57%を占めた。33業種別騰落率は6業種が上昇、27業種が下落。プラスのセクターは輸送用機器、ガラス・土石、電気機器、ゴム製品、海運、水産・農林。マイナスのセクターの下位は鉱業、その他金融、パルプ・紙、不動産、銀行、陸運など。

 日経平均採用225種は値上がり69銘柄、値下がり138銘柄。プラス寄与度1位はファナック<6954>の+14円、2位はファーストリテイリング<9983>の+3円で、ともに4日続伸し日経平均を下支えした。マイナス寄与度1位はアステラス製薬<4503>、2位はヤマトHD<9064>で、ともに-2円。

 銀行セクターは業種別騰落率29位と不振。メガバンクのみずほ<8411>は1.3円安、三菱UFJ<8306>は5.2円安、三井住友FG<8316>は2.5円安。東北の地銀2行の持株会社じもとHD<7161>は3月期通期の経常利益見通しを35億円から38億円に上方修正して6円高で年初来高値を更新した。野村HD<8604>は5.3円安。前日の主役のマネーパートナーズG<8732>はマスターカードとの提携話が出て売買高、売買代金とも1位の「2冠」で前場に年初来高値を更新したが28円安で値下がり率4位。同業のマネースクウェアジャパン<8728>は90円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。今週はFX関連銘柄の値動きが派手だった。