【日経平均】何を恐れるのか ドル円106円台でも44円高

2014年09月09日 20:13

 週明け8日のNYダウは25ドル安。NASDAQは9ポイント上昇。住民投票前の世論調査で独立派が多数を占め新たなリスク要因「スコットランドの独立」が浮上し、英国ポンドが売られヨーロッパ市場も軟調。ウクライナ和平、中国の貿易統計の輸入減少などを反映し原油先物価格は3日続落して8ヵ月ぶりの安値になり、エクソン・モービルは1.5%、シェブロンは0.9%、コノコ・フィリップスは1.6%それぞれ下落した。ボーイングはヨーロッパ最大のLCCライアンエアーから737型100機の発注を受け2.6%上昇。新製品発表会前日のアップルは0.6%下落したが、アリババの仮条件決定を好感してヤフーは5.6%上昇した。9日朝方の為替レートはドル円が5年11ヵ月ぶりの106円台に乗せて106円近辺、ユーロ円が136円台後半で、前日から円安が大きく進行した。

 CME先物清算値は15805円。取引時間前に7月の第三次産業活動指数が発表され、前月比横ばいの98.2。8月のマネーストックはM3が+2.4%、M2が+3.0%だった。日経平均は90.71円高の15795.82円で始まる。TOPIXも1300円台に乗せてスタート。しかし15800円にタッチすることはなく「寄り天」で下落しておおむね15770~15790円のレンジで小動きする状況が続き、為替レートも動かない。日経平均を引っ張るのは前日に引き続いてソフトバンク<9984>と、円安メリットを受ける自動車、ゴムなどの主力株。香港市場は休場だが連休明けの上海市場、台北市場は上昇スタート。しかしドル円レートが一時的に106円を割り込んで10時50分頃から日経平均は下落開始。10時52分に15746円まで下げた後、15750円前後でもみあった後、11時18分に15736円の安値を取る。TOPIXも一時1300割れ。前引けは少し戻して15752円で前場を終えた。

 昼休み中にドル円レートが急に円安方向に振れ、後場は15768円で再開し15780円付近まで上がるが、そこから上値を追えず「寄り天」の高値更新も15800円台乗せもできずに15780円近辺でのもみあいが1時45分頃まで続く。為替に変化はなくても15750円近辺まで下げて2時の8月の消費動向調査の発表を迎える。消費者態度指数は前月比で0.3ポイント低下して41.2で、内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正した。しかし日経平均は下げ止まって逆に15770円付近まで上昇。しかし終盤では下押しされてTOPIXは安値引け。日経平均は44.04円高の15749.15円と続伸したが、為替のドル円が前日より約1円も円安だったのに「この程度の上昇か」というところ。日中値幅は59円と小さかった。TOPIXは+0.98の1299.62で1300を割って終了。売買高は18億株、売買代金は1兆7629億円だった。

 値上がり銘柄660より値下がり銘柄1017のほうが多く、全体の55%を占めた。業種別騰落率も14対19で値下がり優勢。プラスセクターの上位は情報・通信、保険、ゴム製品、海運、輸送用機器、機械など。マイナスセクターの下位は不動産、鉱業、ガラス・土石、サービス、石油・石炭、建設などだった。

 日経平均採用225種は値上がり88銘柄、値下がり126銘柄でこれも値下がりのほうが多い。プラス寄与度1位はアメリカのヤフーの株価大幅上昇も効いたソフトバンク<9984>で+40円。日経平均の上昇幅の9割以上をこの銘柄が支えた。2位はTDK<6762>で+5円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>、2位はオリンパス<7733>で、ともに-2円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>0.4円安、三菱UFJ<8306>4.4円安、三井住友FG<8316>19円安と揃って下落。野村HD<8604>は0.1円の小幅高だった。ドル円106円台の円安進行で活気づくはずのFX関連は、マネーパートナーズG<8732>が信用規制の「ハンデ戦」を強いられ6円安。マネースクウェアジャパン<8728>はのびのびラウンドして72円高で年初来高値を更新し値上がり率14位と好スコアを出していた。

 電機大手はソニー<6758>は24.5円高だったが、東芝<6502>は0.9円安、NEC<6701>は7円安、富士通<6702>は12.8円安。セイコーエプソン<6724>は70円高で年初来高値を更新した。アップルの新製品発表会を前にTDKは150円高、日東電工<6988>は93円高、村田製作所<6981>は160円高で年初来高値を更新したが、ミツミ電機<6767>は36円安で値下がり率10位。アップルがくれば思い出すフォスター電機<6794>は43円高。工作機械のオークマ<6103>はクレディスイスがレーティングを引き下げ42円安で値下がり率5位だった。

 7月の携帯電話国内出荷台数が発表され9%減で3カ月連続のマイナス。しかしNTTドコモ<9437>は三菱UFJ証券が目標株価を引き上げ売買代金15位で21.5円高。KDDI<9433>は同14位で66円高。ソフトバンクは同1位で341円、4.47%の大幅高で値がさ株にしては珍しく値上がり率ランキング20位に顔を見せた。情報・通信セクターは業種別騰落率でトップになっていた。