【日経平均】ソフトバンクが半分支え36円高3日ぶり反発

2014年09月08日 20:17

 5日のNYダウは67ドル高、NASDAQ総合指数は20ポイント上昇。S&P500は史上最高値を更新した。アメリカの雇用統計は非農業部門雇用者数が14.2万人増で7ヵ月ぶりに増加が20万人を下回り、7月の20.9万人増も市場予測の22.5万人増も大きく割り込んだ。失業率は7月比0.1ポイント改善の6.1%で市場予測と同じ。ダウは安く始まったが、ウクライナの和平協議でウクライナと親ロシア派の代表が軍事行動を停止する停戦合意書に署名したという地政学的リスク大幅後退のニュースが入ると徐々に値を戻してプラスに浮上した。CS放送のディッシュ・ネットワークがTモバイルUSの買収でドイツテレコムに打診したと伝わりディッシュは0.9%、TモバイルUSは1.4%それぞれ上昇。8日朝方の為替レートはドル円が105円台前半、ユーロ円が136円台前半で、前週末の水準をほぼ維持していた。

 5日のCME先物清算値は15685円。取引時間前に4~6月期の国内総生産(GDP)改定値が発表され、速報値の年率換算6.8%減から0.3ポイント低下して7.1%減で市場予測の7.0%より少し悪い。1~3月期に比べ1.8ポイント下落。原因は設備投資の落ち込みで、速報値の2.5%減から5.1%減へ大幅に悪化した。7月の経常収支は4167億円の黒字で2ヵ月ぶりの経常黒字だが市場予測よりも下。貿易収支は8281億円の赤字だった。

 それでも為替のドル円は105円台を保ち日経平均は49.45円高の15718.13円で始まる。TOPIXもプラス。午前9時2分に15730円まで上昇するが、急落して9時25分にマイナス圏の15656円まで下げ、TOPIXも一時マイナス。そこからV字回復し9時台のうちに15700円台を回復するが、10時台に入ると為替の円高が進行してドル円は一時的に105円割れし、日経平均も再びマイナスにタッチ。しかしTOPIXはプラスを保つ。上海市場は中秋節の祝日休場、香港市場は下落で始まる。中国の8月の貿易収支は498.3億ドルの黒字で市場予測を上回った。日経平均は10時台後半には値を戻し、11時台は15700円よりも上に行ったり下に行ったりを繰り返した末、前引けは15695円だった。

 後場は前引けとほとんど同じ水準で再開し、午後0時台は15680~15700円のレンジのもみあいが続く。1時台になると下落し何回かマイナスにタッチするが底堅い。2時に8月の景気ウオッチャー調査が発表され、天候不順の影響で現状判断指数は47.4で前月比3.9ポイント低下し4ヵ月ぶりの悪化。先行き判断指数は50.4で前月比1.1ポイント低下し3ヵ月連続の悪化だった。内閣府は基調判断据え置き。それでも為替が円安方向に振れたため2時台の日経平均は尻上がりに値を戻し、大引け前に15700円台を回復して終値は36.43円高の15705.11円で3日ぶりに反発した。後場の為替のドル円は105円台を堅持。アメリカの雇用統計はイエレンFRB議長が気にする広義の失業率や労働参加率はしっかり改善をみせて「見かけほど悪くはない」という評価。GDP改定値もほぼ市場予測通りで、日経平均の上値は抑えたものの終値をマイナスにするほど下押し圧力は強くはなかった。日中値幅は74円。TOPIXも+5.43の1298.64で3日ぶり反発。売買高は5日ぶりに20億株を割り込み17億株、売買代金は1兆5240億円と少なかった。

 東証1部の値上がり銘柄数は1272で全体の69%を占め、値下がり銘柄数は455。33業種別騰落率は26業種が上昇し7業種が下落。プラスのセクターの上位はその他金融、電気・ガス、建設、情報・通信、機械、銀行など。マイナスのセクターの下位は鉱業、サービス、空運、その他製品、ゴム製品、石油・石炭などだった。

 日経平均採用225種は値上がり130銘柄、値下がり89銘柄。プラス寄与度1位は、子会社アリババのNY上場の仮条件が60~66ドルと決定し、時価総額約1600億ドル(約16.8兆円)で市場から最大約243億ドル(約2.5兆円)を吸収すると定まったソフトバンク<9984>で+18円。その寄与度が日経平均上昇幅の約半分を占めた。保有するアリババ株の時価総額は約5.3兆円で自社の時価総額の半分以上という「お宝」を手に入れる。2位はファナック<6954>で+9円。マイナス寄与度1位は不可解な下げ方をしたカシオ計算機<6952>、2位はファーストリテイリング<9983>で、ともに-2円だった。

 安倍首相が7日にスリランカを訪問。みずほ<8411>は傘下のみずほ銀行がスリランカ投資庁(BOI)と業務提携し0.7円高。この日は4.2円高の三菱UFJ<8306>傘下の三菱東京UFJ銀行も8月にBOIと業務提携している。三井住友FG<8316>は傘下の三井住友銀行が香港の大手銀行と提携し32.5円高だった。野村HD<8604>は0.4円高。しかし前週華々しかったFXのマネーパートナーズG<8732>は、東証がこの日から信用規制を強化したため売買高12位の46円安で値下がり率3位になった。

 今年度、全世界で発売する燃料電池車(FCV)の車名を「ミライ(MIRAI)」とするトヨタ<7203>は8円安。日産<7201>は10.5円高、ホンダ<7267>は1.5円安、マツダ<7261>は19円高。自動車部品の市光工業<7244>はストップ高の50円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。次世代自動運転システム「オムニアイズコンセプト」の技術を発表して人気を集めていた。パナソニック<6752>はテスラ・モーターズとともにアメリカのネバダ州に蓄電池工場を建設するニュースに加え、ドイツのボッシュと白物家電を相互供給する方向で検討に入ったとも伝えられたが4.5円安。システムキッチンを新たに供給する。ソニー<6758>は1.5円高。東芝<6502>は7円高。NEC<6701>は2円安。「空気電池」で前週まで派手に買われた古河電池<6937>は184円安で値下がり率1位。そろそろ年貢の納め時。