介護労働安定センターの介護労働実態調査で2013年度の職員の離職率が16.6%であることが分かった。12年度より0.4%減少。しかし、同年度の全産業平均の14.8%年よりは以前高い数字となっている。人材の定着と人材獲得の2つが介護業界の抱える問題だ。
汚い、キツイ、危険の3K職場。以前は建築現場などの体力を必要とする肉体労働を指す言葉であったが、現在介護業界にむけて使われることが多い。そんな中、介護労働安定センターの介護労働実態調査で2013年度の職員の離職率が16.6%であることが分かった。12年度より0.4%減少。しかし、同年度の全産業平均の14.8%年よりは以前高い数字となっている。
介護業界には国が進める介護の社会化を実現するために、人材の獲得と定着の2つの問題が大きくのしかかっている。団塊の世代が全て65歳以上の高齢者となる15年問題。厚生労働省の試算では、25年には介護職員が100万人以上不足すると見られている。またインドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国から介護職員の受け入れを進めているが、なかなか上手くいっていないのが現状だ。このまま行けば、今も入居者待ちが数十万人単位でいる特別養護老人ホームの入居はほとんど不可能になり、在宅介護を望んでも介護士がいないのでケアをしてもらえない介護難民が溢れることになる。在宅介護を重点的に進める国の施策にも綻びが生じるだろう。
現在、訪問介護員の79%が非正規社員で90%以上が女性となっている。もともと業界の78%が女性であり女性の多い業界であるが、給与の少なさで将来が見えないなど、男性が勤めにくいという理由もある。
今回の調査結果によると、介護職員はやりがいを感じてはいるが、待遇面での不満を抱えている。一方で介護事業者は、人材確保の難しさと今の介護報酬では十分な賃金を払えないことが課題であると感じている。実際に全労連が調査したデータによると、平均給与が207,795円で全労働者平均の297,700円を90,000円も下回っていると言う。つまり現在の介護業界は、介護に携わる人の善意で成り立っているのが現状だ。
介護の担い手が不足しサービスの質が低下すれば、いずれ国民の負担となって返ってくる。在宅での介護も、施設での介護も叶わないとなれば家族で面倒をみる必要があり、減少を続ける労働人口に打撃を与え、経済の成長に影響を及ぼすだろう。介護の社会化をどこまで受け止める覚悟があるか、試されているのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)