団塊世代が一斉に75歳以上の「後期高齢者」となる2025年まで、あと11年。大都市にも介護・医療の問題が大きくのしかかるが、人々は自身の最期について、どのように考えているのか。第一生命経済研究所が、全国の50~79歳の男女600名に聞いたところ、「理想の最期の迎え方」には男女で差があることが分かった。
調査は今年8月、全国の50~79歳の男女600名に対し、郵送調査法で実施。545名から回答があった。将来、介護を受けたい場所について尋ねたところ、男性では「自宅派」が52.4%と、女性(36.8%)より15ポイント以上多かった。自宅で介護を受けたい人は、「住み慣れた家で暮らしたい」(87.2%)と考えており、施設派は「家族に負担をかけたくない」(79.8%)と考えているようだ。
また、「主として誰に介護してもらいたいか」を単一回答で聞いたところ、配偶者がいる男性は「配偶者」と回答した人が7割に上ったが、女性では3割にとどまった。女性は配偶者よりも、「施設の職員」に介護してもらいたいと考えている。また、「娘」と答える割合も、男性はわずか1.9%だったのに対し、女性は19.4%と5人に1人いた。男性は、妻がいれば妻に、妻がいない場合には「施設の職員」か「訪問介護のスタッフ」に介護してもらいたいと考えているようだが、女性の場合は夫よりも施設の職員に期待している。女性にとっては「娘」の存在も大きい。
第一生命経済研究所では、「(男性は)自分は妻より先に介護が必要な状態になり、妻より先に亡くなるという前提に立ち、自分が自立できなくなった後の処遇を妻任せにする」傾向が少なくないと指摘する。ただ、今後は男女ともに長寿化が進む。妻に先立たれたり、妻が先に要介護になるなどのケースが増え、全ての男性が理想を叶えるのは難しくなるだろう。大都市でも医療・介護の人手不足は深刻化すると見込まれており、「誰に最期を任せるのか」という問題に、多くの人が直面するのは確実だ。(編集担当:北条かや)