外国人看護師は普及するか? 高齢者支えるのに50万人の人手不足も

2014年08月19日 12:44

 増え続ける高齢者を支えるための、医療・介護従事者が圧倒的に不足している。団塊の世代がすべて後期高齢者に突入する2025年には、医師数は現在より約3万人増の33~34万人、看護職員は約50万人増の200万人、介護職員は100万人増の250万人が必要との試算もある。

 高齢者の数は右肩上がりに増えるのに対して医療・介護人材は一朝一夕には誕生しない。医学部の定員は国が定めるため、勝手に増員はできないことに加え、1人の医師が育つには臨床研修まで含めると8年はかかる。看護師は毎年5万人の新卒者が就職している一方で、離職者も多く、増加のカーブはゆるやかだ。

 こうした中、政府は数年前から経済連携協定(EPA)に基づいて、外国人看護師・介護士の育成に取り組んでいる。連携を結んでいるのは現在ではインドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国で、今年度までに3カ国ですでに看護師約800人、介護福祉士1500人を候補者として受け入れている。

 候補生の受け入れ累計数は年々増えているが、言葉の壁などから、実際の資格取得はハードルが高い。看護師の国家資格は一般的には8~9割の合格水準だが、外国人候補生の合格率は10%前後と低い。介護福祉士の場合も、一般には6割前後の合格水準に対し、外国人候補生は4割に満たない合格率が続いている。

 政府は外国人看護師などの育成について、あくまでも経済活動の連携を強めることを目的としたものと説明している。しかしながら急速に進展する日本の高齢化を考えれば、外国人材の活用は無視できないテーマだ。

 日本の高齢化はその速度がきわめて速いことから、他国に例を見ないといわれている。すでに国民の4人に1人が65歳以上の高齢者だが、2035年には3人に1人、55年には2.5人に1人が高齢者となる。これを支えるには多くの医療・介護人材が必要なのは明らかで、外国人活用も含めた幅広い対応が求められている。(編集担当:横井楓)