うつ病や自律神経失調症を理由とする精神障害の労災認定が激増している。厚生労働省によれば、2013年度の精神障害労災認定の請求件数は1409件と過去最多を記録。そのうち自殺者は177件の請求があり、63件が労災と認められている。精神障害による労災請求は、1998年頃までは2桁で推移していたものが、99年に100件を突破するとその後は右肩上がりに急増し、深刻な社会問題となっている。
2013年度の精神障害労災認定の請求件数は1409件で前年度より152件増加した。1409件のうち労災認定されたのは436件(認定率36.5%)。
職種分類では、医療や介護や社会福祉分野での請求が多いものの、全体ではサービス業や製造業、情報通信業など幅広い職種に渡っており、あらゆる企業で見過ごせない問題であることがわかる。
精神障害を引き起こすきっかけとなった出来事では「上司とのトラブル」が最多で、他を引き離して理由のトップになっている。次いで「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」「嫌がらせまたは暴行があった」が続くなど、多くは人間関係のトラブルである。
こうした背景を受け、個別企業による取り組みだけでは改善が難しいことから、政府は6月に公布された改正労働安全衛生法に、新たにストレスチェック制度を創設。医師や保健師によるストレスチェックを事業者に義務付けた。
ストレスチェック制度は、▽医師などが結果を労働者に通知することで気づきを促進▽労働者は産業医との面接申し出が可能▽事業者は産業医から、面接結果に関する意見を聴きつつ、事後措置を講ずる――というのが大まかな流れである。
もちろん、ストレスチェックの面接に関することを理由とした不利益取り扱いは禁じられ、事業者へ情報を提供する際には、労働者の同意を必要とするなど配慮されている。
実際の運用は、今後議論をつめていき、15年12月までに施行される予定だ。
制度を効果的に生かすには、労働者の情報保護や不利益取り扱い禁止の徹底などが欠かせない。一方で放置すればこの問題が拡大の一途をたどるのは明らかだ。メンタルヘルス不調を未然に防ぐ、はじめの一歩として、できる取り組みはなんでもやっていく姿勢が重要になるだろう。(編集担当:横井楓)