大塚製薬、多剤耐性結核に効果がある抗結核薬発売

2014年09月29日 08:23

 大塚製薬(大塚ホールディングス<4578>)は、2014年9月8日に発表した成人の多剤耐性結核に効果のある抗結核薬の「デルティバ」(一般名デラマニド)を26日から発売した。

 「デルティバ」は、日本では約40年ぶりとなる抗結核薬の新薬で、日本で唯一の多剤耐性肺結核に効果のある新薬である。

 結核は、主要な従来の治療薬が効かない多剤耐性結核菌に感染すると、治療が長引き、隔離された環境で就業もできず大きな負担や苦痛が患者に生じ、死に至ることもある。日本の結核患者数は終戦後の1951年に59.1万人であったが、その後、急激な減少を示し、2012年現在の患者数は、約2.1万人である。しかし、先進諸国の中では、10万人当たりの発症率17人と最も高い水準にある。

 また、80年ころから減少率が低下し、現在もその傾向が続いている。その理由として、結核治療の第一選択薬で長期間使用されてきた「イソニアジド」および「リファンピシン」が効かない結核菌種(多剤耐性結核菌)が現れたことや、免疫力が低下した高齢者の増加、贅沢になり車などの利用で運動不足などによる糖尿病患者の増加、現代社会によるストレスの増加、極端なダイエットをする人の増加などによると推測されている。

 耐性結核菌が出現するのは、結核の治療薬の服用を患者が勝手に判断して途中で止めることで、体内の結核菌が全部死滅しないで、生き残ることで耐性を持つようになるからである。そのため、結核の治療には、通常3~4種類の結核治療薬を併用して6~9ヶ月間、場合によっては、もっと長い期間、薬の服用をしなければならないが、この途中で自覚症状がなくなった、症状が軽くなった、副作用が現れたなどの理由で医師の承認なく、患者が勝手に薬を飲むことを止めることや、不規則に薬を飲むことを決してしてはならない。

 多剤耐性結核の治療期間は少なくとも、20カ月から長い場合は数年におよび、治療成功率も40~70%と低く、死亡率も3年で18%、5年で25%と高いことも問題で、新しい多剤耐性結核菌に対する薬の開発が待たれていた。(編集担当:阪木朱玲)