物価目標を導入した前日の白川総裁の記者会見は好材料になったようで、円高は長続きせず朝方のドル円は84円台半ば、ユーロ円は111円台後半。財政の崖問題に明るい見通しが出てNYダウは59ドル高。それを受けて週末21日の日経平均始値は106.25円高の10145.58円と100円以上の反転で始まった。ところが、前場後半から上値が重くなりズルズルとマイナス圏まで下落し、前引け前に一時1万円を割り込む。後場は1万円を割って始まり、そのまま大台を回復することなく99.27円安の9940.06円で今週の取引を終えた。売買高は1兆9056億円だった。
財政の崖問題は採決を結局延期して米議会がクリスマス休会に入ったため、ザラ場中に為替がドル円が83円台後半、ユーロ円が110円台後半の円高に振れ、アジア市場も良くなかった事情もあるが、やっぱり今日は「利益確定売りの金曜日」。日本では振替休日を含めた三連休の前、海外ではクリスマス休暇前で、利食いしていったん手じまいしたいムードが強まったようで、資金の受け皿とみられる債券価格は上昇し、長期金利は低下した。
上昇した業種は不動産、鉱業、石油など。下落した業種は鉄鋼、ゴム、自動車、非鉄、電機など輸出関連が目立った。日経平均と同じ動きだったのがトヨタで、前場に年初来高値を更新した後に急落し80円安で終えた。日経平均寄与度の高い京セラ、ファーストリテイリング、ファナックが揃って3ケタ下落すれば、日経平均があっさり1万円を割るのも納得できる。ソフトバンクはNTTドコモとともに買われたがKDDIは下落した。銀行・証券株は大量の売り買いが交錯し、売買代金1位の三菱UFJは2円安、2位のみずほは変わらず、5位の三井住友FGも変わらず。4位の野村HDは2円高で引けて8連騰継続中。売買高ランキング上位に毎日顔を出すシャープは7円安。パナソニック、ソニーも下げた。日産は続落し19円安。東京電力は続落したが、関西電力は34円高と買われた。
今日の主役は東京建物グループ。不動産流通の東京建物不動産販売が+15.67%の45円高で値上がり率1位になり、グループの中核企業でデベロッパーの東京建物が値上がり率10位にランクインした。旧安田財閥系の名門企業ながら市場では他の大手不動産企業の陰に隠れて地味な存在だったが、出遅れ感があり見直された。今日は平均株価は下がったが東証REIT指数のほうは1.75%上昇し、7日続伸で連日年初来高値を更新中。不動産は東証33業種の騰落率でトップになり、三井不動産は1円高だったが、三菱地所は53円高、住友不動産は76円高と買いを集めた。年末の「掉尾の一振」に期待するなら、J-REITや不動産株か。(編集担当:寺尾淳)