日本の社長は60代以上が35%占める 会社経営にも押し寄せる高齢化

2014年10月04日 14:47

 高齢化が進むにつれ、社長の高齢化も進んでいるようだ。株式会社東京商工リサーチの調査では、2014年の全国社長の平均年齢は60.6歳と高齢化が進んでいることがわかった。年齢分布では70代以上の社長の構成比が上昇する一方で、30代以下は伸び悩み、社長の高齢化が加速しているという。また、社長が高齢になるほど業績が落ち込み、「減収減益」企業の比率が高くなる傾向がみられた。企業を取り巻く環境が大きく変化する中で、安定した業績を維持するビジネスモデルの構築は難しくなっており、円滑な事業承継の必要性を浮き彫りにしている。

 この調査は、東京商工リサーチの企業データベース265万社(2014年9月時点)から代表者の年齢データを抽出し、分析した。結果、2014年の全国社長の平均年齢は60.6歳で前年より0.2歳伸びた。社長の平均年齢は2009年が59.5歳、10年が59.8歳で、11年は60.0歳と平均年齢が60歳台に乗った。これ以降、12年60.2歳、13年60.4歳と、社長の高齢化が年々進んでいるとした。

 2014年の社長の年齢分布は、60代の構成比が35.0%で最も高かった。2009年の36.8%以降は、10年が37.0%、11年が36.9%、12年が36.4%、13年35.8%と推移してきた。高齢の70代以上は2009年が17.2%だったが、10年が18.4%、11年が19.3%、12年が20.6%、13年21.5%と推移し、14年は22.5%まで上昇し5人に1人の割合となった。一方、30代以下は、2009年から11年まで4.5%で推移し、12年が4.4%、13年が4.2%、14年には4.0%と年々比率が低下し、若い経営者の創業や社長交代の停滞ぶりを示している。

 2014年の社長年齢の地区別では、全国9地区すべてで60代の構成比が最も高かった。このうち、東北が最高の39.3%で、北海道38.7%、九州38.2%、北陸38.1%の順だった。さらに、70代以上の構成比では、関東が24.4%、中部22.6%、東北22.5%の順だった。地区別の社長平均年齢では、東北が60.3歳で最も高齢だった。次いで、四国60.1歳、北海道60.0歳と続く。

 また、2014年の都道府県別では、29都道県で全国平均を上回った。社長の平均年齢が最も高かったのは岩手県の62.4歳だった。次いで、高知県62.2歳、秋田県62.1歳、長野県61.9歳、新潟県61.8歳、島根県61.7歳と続く。一方、平均年齢が低かったのは沖縄県の59.1歳。以下、滋賀県59.42歳、大阪府59.43歳、広島県59.49歳、愛知県59.7歳の順で西日本が目立った。70歳以上では、東京都が25.77%と4社に1社を占め、社長の高齢化が際立っている。

 産業別の社長の平均年齢では、最高が不動産業の60.9歳だった。次いで、飲食業やホテル・旅館などを含むサービス業他と卸売業が各60.6歳、製造業60.5歳、農・林・漁・鉱業60.1歳、小売業59.83歳、金融・保険業59.80歳、運輸業59.3歳、建設業58.7歳、情報通信業56.5歳の順だった。産業別で70代以上の比率が最も高かったのは不動産業の29.2%だった。次いで、小売業26.16%、卸売業26.14%、製造業25.6%と続く。

 また、60代では農・林・漁・鉱業の37.6%が筆頭で、卸売業35.9%、建設業35.6%と続く。こうしたなか、情報通信業は60代が29.2%で最も低率だったが、50代が31.8%と高い比率を示し、さらに40代が20.3%、30代以下が8.0%と他産業と比べて高く、若手経営者が多いことを物語っているとした。

 さらに、売上高別の社長年齢分布をみると、1億円未満では70代以上が2割(構成比21.6%)を占めた。70代以上では小規模な企業が多く、業績が景気の動向に左右されやすいとみられる。社長年齢別の業績状況では、黒字企業は30代以下の構成比が80.4%で最も高かった。次いで、40代80.0%、60代79.4%、50代79.0%と続き、社長年齢が若いほど黒字企業の割合が高いことわかった。これに対し、70代以上は赤字企業の構成比が22.0%と最も高く、社長の高齢化が業績に影響している結果となった。(編集担当:慶尾六郎)