政府は成長戦略の中で、新しい法人形態「ソーシャルビジネス法人(仮称)」の法制化を掲げている。「ソーシャルビジネス法人」とは、貧困や高齢化などの福祉や、教育、環境など、社会問題の解決のために事業を行う法人で、株式会社とNPOの中間に位置するもの。2006年、バングラデシュのグラミン銀行が、創設者のムハマド・ユヌスと共にノーベル平和賞を受賞するなど、認知度は徐々に高まっている。政府は法制化を通して、「社会的企業」を後押しする狙いがある。
一方、日本政策金融公庫総合研究所の結果によると、「ソーシャルビジネス」等を知っている人の割合は27.3%にとどまっている。貧困や社会格差、途上国支援などの「社会問題」に関心がある人の割合も6割程度と、決して多くはない。
調査は同研究所が今年7月、全国の18歳~64歳の男女3143人にウェブアンケートで実施。社会課題に、ビジネスの観点から取り組む「ソーシャルビジネス」や、地域の課題解決を目指す「コミュニティビジネス」を知っているか尋ねたところ、どちらか一方でも知っている人の割合は、若い世代ほど高かった。18~19歳では、「知っている」が35%にのぼる一方、60~64歳では25%にとどまっている。
ソーシャルビジネスなどを「知っている」と答えた857人のうち、具体的な企業名を挙げられた人は7割で、バングラデシュの「グラミン銀行」が10人、地域のコミュニテイカフェを運営する株式会社イータウンが9人、病児保育を手がける特定非営利活動法人フローレンスが4人などとなっている。なお、ユニセフやユネスコのような国際機関や、フェイスブックなど「ソーシャルメディア」を回答した人もおり、認知度は依然として低い。
ソーシャルビジネスで働いてみたかどうか尋ねたところ、全体の24.4%が「働いてみたい」と回答した。若い世代ほど「働いてみたい」とする人の割合が多く、10~20代では3人に1人が、ソーシャルビジネスに関わりたいと答えた。ソーシャルビジネスの認知度は低いが、若い世代を中心に社会問題への関心は高い。彼らの意欲を、ビジネスでの社会参加に繋げることができれば、希望は大きいだろう。(編集担当:北条かや)