医療費が過去最高を更新 毎年約1兆円ずつ増

2014年09月16日 12:24

画像・医療費が過去最高を更新 毎年約1兆円ずつ増

厚生労働省は2013年度の医療費が最高を更新したことを発表した。概算値で算出した医療費は約39.3兆円にのぼる。前年と比較して2.2%増となり、過去11年連続で年1兆円ずつ増加し続けている。

 8月26日に厚生労働省は2013年度の医療費が最高を更新し、約39.3兆円にのぼったことを発表した。前年と比較して2.2%増の約8,500億円が増えたことになり、過去11年連続で増加し続ける結果となった。発表された医療費は、診療報酬を元に集計された速報値となる。これは国民医療費の98%に相当する概算医療費であり、全額自己負担の医療費や労災を除外して算出されている。

 高齢化に伴い医療費は年々膨らみ続けており、07年で33.4兆円、08年34.1兆円、09年35.3兆円、10年36.6兆円、11年37.8兆円、12年38.4兆円となっている。1年ごとに約1兆円ずつ増加しており、このままでは40兆円を超える日もそう遠くはないだろう。

 診療種類別で見ると、診療費が81.8%の32.1兆円、調剤が17.9%で7兆円となっている。診療費のうち医科の入院でかかった費用は40.2%の15.8兆円、医科の入院外は34.7%の13.6兆円、歯科は6.9%の2.7兆円となる。

 1人当たりの医療費は2.4%増の30万8千円となるが、年齢別にみると75歳未満が20万7千円である一方、75歳以上では92万7千円と4倍以上も差が出ている。厚生労働省は12年度の都道府県別医療費についても発表を行っており、1人当たりの医療費が最も多かったのは高知県で62.5万円だった。続いて山口県61.6万円、大分県60.0万円、広島県59.8万円、佐賀県59.6万円となり、東京都や埼玉県、千葉県など関東は40万円台と低い。

 地域によって医療費に差が生じていることに対し、国は都道府県ごとに目標値を定めて医療費の抑制を図っていく方針だ。必要のない入院や診療、投薬などはできるだけ控え、医療費の削減を促進していきたい考えだが、医療の充実を求める視点から反発の声は大きい。目標値に合わせた医療では、個々のケースに見合った医療を受けることができなくなる恐れも出てくるためだ。

 高齢化社会が進むにつれ、医療の自己負担増は避けられない問題として浮上している。今年4月には高齢者に対する特例措置が見直され、70歳になる人はこれまでの1割負担から2割負担へと変更になった。先行きに不安がたちこめる医療費問題だが、医療の質を守っていくことも重要な課題となるだろう。(編集担当:久保田雄城)