派遣労働 増やす減らすの単純な話でない 総理

2014年10月04日 12:05

今国会の最大争点のひとつになっている労働者派遣法の改正について3日の衆院予算委員会で民主党の山井和則議員が「今回の改正案では均等待遇が不十分になっている。派遣労働者の既婚率は低く、派遣労働者を増やすことは少子化対策にも逆行している。派遣労働者の6割は正社員になりたいが、30代を越えると生涯派遣となりかねない」と改正案の問題を指摘し「改正では派遣労働者を増やすことを考えていないということだが、その理由は」と質した。

 これに安倍晋三総理は「働き方の様々なニーズにこたえていくための法律だ。派遣労働者を増やすのか、減らすのかという単純な話ではない」と答弁。派遣労働でなく正社員で働きたいという若者を中心とした就労者が派遣労働者の半数に上り、少子化対策も含め最重要な安定した雇用に影響するだけに、均等待遇の法的担保をどこまで織り込むか、さらに論議を呼びそうだ。

 また安倍総理は、労働者派遣法改正案は「それぞれの人が自己実現しやすい仕組みをつくっていこうというものだ」と答弁し、「派遣を増やすための法律ではない」と反論した。

 安倍総理は「派遣期間が満了した場合、正社員になったり、別の会社などで派遣を続けることができるようにする措置を派遣会社に新たに義務付けるほか、キャリアコンサルティングや計画的な教育訓練の実施を派遣会社に新たに義務付けるもので、派遣就労の固定化を防ぐ措置だ。派遣会社や派遣社員の受け入れ先企業に対し派遣社員の正社員化への義務を強化している」と主張。

 安倍総理は「今まで派遣は3年を超えれば同じ人を係りを変えれば受け入れ可能だったが、少なくとも課を変えなければ3年を超えて同一労働者の派遣はできなくなる。正社員あるいはキャリアアップに資する法改正だ」と主張した。

 山井議員は「派遣はあってもいいが、あくまで臨時的なもので、均等待遇でなければならない」とし「今回の法改正では均等待遇の義務は入っていない。派遣受け入れの上限が3年から拡大する」として「生涯派遣を増やすことになる大問題だ」とした。(編集担当:森高龍二)