安倍総理は「物価の上昇により、賃金の上昇を実感しづらい状況であることも事実だ」と認めたうえで「政労使会議で経済の拡大による好循環にむけた環境整備を図り、賃金が毎年しっかり増えていく状況を実現していく」とした
安倍晋三総理は30日の衆院本会議で民主党の海江田万里代表の質問に答えた。海江田代表が雇用問題について非正規労働者が1900万人を超える中で「賃金、労働条件、社会保険の適用などの格差是正は放置されたまま」と指摘し、労働者派遣法案の再提出で「派遣で働いている人は一生派遣で働けと言うのか」と迫り、「残業代ゼロ制度の導入への動きは過労死防止法に逆行するもの」と指摘したのに答えた。
安倍総理は労働者の賃金について「アベノミクス3本の矢の効果もあり、経済の好循環が生まれ始めている」とし「今春闘の賃上げ率は過去15年間で最高になった。ひとりあたりの常用雇用者数に名目賃金を乗じた雇用者所得は昨年4月以降、上昇している」と反論。
一方で「物価の上昇により、賃金の上昇を実感しづらい状況であることも事実だ」と認めたうえで「政労使会議で経済の拡大による好循環にむけた環境整備を図り、賃金が毎年しっかり増えていく状況を実現していく」とした。
また安倍総理は「非正規から正規に移行した雇用者数は5四半期連続して増えている」とし「雇用者に占める非正規比率は低下している」とした。
また労働者派遣法改正案については「キャリアコンサルティングや計画的な教育訓練などの実施を派遣会社に義務付けるなど、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップを支援するものであり、派遣で一生働くことになるとの指摘は全くあたらない」と反論。
また「新たな労働時間制度」についても「希望しない人には適用しない。職務が明確で、高い職業能力を持つ人材に絞る。また賃金が下がることがないようにするとの原則の下で検討を進めている」として「残業代ゼロ制度とはまったく異なるもので、そのようなレッテル貼りは不適当」と反論した。(編集担当:森高龍二)