【MotoGP第15戦日本】J・ロレンソ2連勝 M・マルケスはチャンピオンシップ2連覇

2014年10月13日 10:14

日本GP

レース序盤のデッドヒート

 2014年10月12日、MotoGPは第15戦日本GP決勝が行われた。レースの舞台は栃木県のツインリンクもてぎ。中距離ストレートが複数あり、高低差のあるために、ブレーキングと加速性能のバランスが鍵を握るテクニカルなコースだ。コース全長は4801m、右コーナー8つ、左コーナーは6つ。

 この日本GPは、ホンダとヤマハ、両ファクトリーチームにとってのホームレースとなるだけに、その攻防が注目された。

 今回の日本GPは予選から大混戦となった。予選で一番時計を出して決勝のポールポジションを獲得したのはアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)。今季好調をキープしているバレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)が2番グリッド、ダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)が3番グリッドを獲得し、順位次第で年間チャンピオンが決定するマルク・マルケス(レプソルホンダ)は4番グリッドと、2列目からのスタートとなった。

 決勝は厚い雲が空を覆う曇天の中スタートした。日差しが遮られたために、気温19℃、路面温度27℃というやや低温の難しいコンディション。そんな中、抜群のスタートを決めてホールショットを奪ったのは2番手スタートのV・ロッシだった。

 5番手スタートのホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)も好スタートを決め、2番手にジャンプアップ。ポールポジションのA・ドビツィオーゾが3番手となり、4番手スタートのM・マルケスはスタートの混戦に巻き込まれて一時6番手まで順位を落とした。

 レース序盤はV・ロッシを先頭にヤマハ・ホンダ・ドゥカティの6台が抜け出す展開となった。3周目にはM・マルケスは4番手まで順位を上げ、トップ争いに加わった。J・ロレンソも前を行くV・ロッシとの差を詰め、5周目にはV・ロッシをパスしてトップに躍り出た。

 トップに立ったJ・ロレンソはハイペースを維持して徐々に後続との差を広げていった。

 J・ロレンソが逃げる中、激化したのが2番手争いだった。9周目にはM・マルケスが3番手のA・ドビツィオーゾをパス、2番手のロッシとの差をじわじわと詰めて15周目のV字コーナーでは接触ぎりぎり、火花散るバトルを繰り広げた。一時はM・マルケスの猛攻を凌いだV・ロッシだったが、16周目のV字コーナーでパスされて3番手に。

 M・マルケスは2番手に浮上し、年間チャンピオンの座を争うV・ロッシおよびD・ペドロサよりも前に出たことで、チャンピオンシップに王手をかけた。

 トップを走るJ・ロレンソはレース終盤まで、危なげのない始終安定した走りを見せて、快勝。日本GPは昨年に続き2連覇、そして前戦のアラゴンからの連勝を手にした。

 V・ロッシ、D・ペドロサは猛追を見せ、レース終盤に2番手のM・マルケスに迫ったものの、M・マルケスは落ち着いた走りで2番手を守り抜いた。3位にはV・ロッシ、4位にはD・ペドロサが入り、2位でゴールしたM・マルケスは年間チャンピオン2連覇を達成した。

 ポールスタートでレース前半、先頭争いを繰り広げたA・ドビツィオーゾは5位でフィニッシュ。ワイルドカードで参戦した全日本JSB1000ポイントリーダーの中須加克行(YAMALUBE Racing Team with YSP)は12位、青山博一(ドライブM7アスパル)は13位という結果となった。

 レース後、M・マルケスは日本刀を使ったパフォーマンスやゴールドのヘルメットで年間チャンピオンを記念するパフォーマンスを実施。会場もM・マルケスの2連覇決定に熱狂した。

 M・マルケスの年間チャンピオンが決定した今年のMotoGPだが、まだまだ目は離せない。今季好調のV・ロッシ、D・ペドロサが僅差でポイントランキング2位を争っている上に、J・ロレンソは前回のアラゴンGPから2連勝。今季終盤に差し掛かり、キレのある走りが復活したJ・ロレンソもここ数戦でポイントを伸ばし、ランキング2位のロッシ・3位のペドロサに迫っている。

 今季前半はM・マルケスの独走状態だったが、後半になってヤマハ勢の調子は上昇中。また、ドゥカティも予選で一番時計を出すなど確実に力をつけてきており、上位争いに食い込むようになってきた。

 2014年シーズン後半は、昨シーズンの後半から続いていたホンダ独走状態に完全にストップがかかっており、ホンダ・ヤマハ・ドゥカティ、どこが勝ってもおかしくない面白い展開になってきている。

 2014年MotoGPも残り3戦。次戦オーストラリアGPは10月19日、メルボルンの南方の小島にあるフィリップアイランド・サーキットで行われる。昨シーズンのオーストラリアGPはJ・ロレンソが優勝しているだけに、次戦もヤマハ勢の活躍には期待がかかる。

 また、今季11勝のM・マルケスは、97年にミック・ドゥーハンが樹立した、シーズン12勝というシーズン最多記録に挑戦することになる。M・マルケスがシーズン最多記録に並ぶことができるのか、そして残り3戦での記録更新があるのか、この年間最多記録の行方も気になるところだ。

 M・マルケスのチャンピオン2連覇は決まったが、まだまだ今季ならではの見どころの多いMotoGP。次戦のオーストラリアGPでも、火花散る激戦を期待したい。(編集担当:熊谷けい)