4週間のサマーブレイクを終えて、後半戦に入ったMotoGP。2014年、後半戦の幕開けはアメリカ、インディアナポリス・モータースピードウェイだ。今年大幅な改修が行われ、インフィールドコースはギャップもなくなり、走りやすいコースに生まれ変わった。
改修後のサーキットはグリップも良くフラットで、ライダーにも好評だ。
8月10日、曇り空で迎えたインディアナポリスGP決勝は、気温30℃・路面温度46℃のドライコンディション。サマーブレイク前の2戦は雨で混乱したレースだっただけに久々のドライでのレースとなった。
決勝スタート。抜群のスタートを決めて、ホールショットを決めたのは、2番グリッドスタートのアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)だった。だがその直後、5番手グリッドスタートのバレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)がトップに立つ。
ポールポジションのマルク・マルケス(レプソルホンダ)は4番手、3番グリッドスタートしたホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)は6番手とやや出遅れ、レース序盤は追い上げる形になった。
レース序盤は先頭集団がつばぜり合いの接戦となり、順位が目まぐるしく入れ替る展開となった。6周目にはトップのV・ロッシと2番手のA・ドビツィオーゾが接触するアクシデントが発生するなど、抜きつ抜かれつ、ぎりぎりの攻防が繰り広げられ、順位も変動したが、レース前半の主導権を握ったのはV・ロッシだった。
だが、レースが中盤に差し掛かった11周目、M・マルケスがV・ロッシを抜いてトップに立つ。これによって、先頭集団はM・マルケス、V・ロッシ、J・ロレンソの展開になった。15周目には、J・ロレンソがV・ロッシを抜いて2番手に浮上した。
その後、レースは縦長の展開となり、M・マルケスは終盤まで安定した走りを見せた。M・マルケスはそのままポール・トゥ・ウィンを決めて今季負けなしの10連勝。2位にJ・ロレンソ、3位にV・ロッシ、4位にダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)という結果になった。
ホールショットを決めたA・ドビツィオーゾは7位でゴールした。
また、インディアナポリスGP決勝は、接触や転倒等が相次ぎリタイアも続出。レース序盤、先頭集団にくらいついていたアンドレア・イアンノーネ(プラマックレーシング)も、16周目にマシントラブルでリタイアした。
4週間という長いサマーブレイクを挟んだ第10戦インディアナポリスGP 。M・マルケスの連勝ストップの期待も高まったが、やはりM・マルケスは強かった。序盤こそついに連勝ストップか、という雰囲気だったが、冷静にレース状況を判断し、タイミングを見計らって抜け出したM・マルケスには誰も届かなかった。
だが、ブレイク明けの第10戦はJ・ロレンソの復調が見られた。今季、前半戦はなかなか振るわなかったJ・ロレンソだが、第10戦では予選から好調をキープし、決勝でも2位フィニッシュ。実力者のJ・ロレンソが復調すればM・マルケスにとっては大きな脅威になる。
今季は現在のところ、1位を独走するM・マルケスに、D・ペドロサとV・ロッシが追いすがる形になっているが、これにJ・ロレンソが絡んで来れば面白い展開になることは間違いないだろう。
なお、この第10戦の勝利で、M・マルケスはスペイン人ライダー通算500勝目(カテゴリー区分なし)、MotoGPクラスではスペイン人ライダー100勝目を達成。1970年のジャコモ・アゴスチーニの開幕10連勝記録に並び、マイク・ヘイルウッドの史上最年少の10連勝記録も更新した。
今季のキーワードになっている「ストップ・ザ・マルケス」を誰が達成するのか、はたまた無傷の「全勝優勝」があるのか、今季後半戦もM・マルケスが話題の中心となることは間違いない。
独走、盤石の体制で新記録・記録更新連発のM・マルケスだが、期待が大きくなればなるほどプレッシャーも大きくなる。サマーブレイクを挟んだこともあってか、第10戦では今季初めのようなマシンポテンシャルの大きな差も見られない。各チームがその差を縮めてきている後半戦、M・マルケスは最期まで逃げることができるだろうか。
次戦はブルノサーキットで行われるチェコGP。メリハリのあるレイアウトで、リズムのよく走れるサーキットで、ライダーにもファンにも人気があるGPだ。チェコGP決勝は8月17日。タイトなスケジュールのため、体力やマシンなどあらゆる調整が勝負の鍵となる。
M・マルケスが連勝記録を更新するか、それとも誰かがいよいよこの牙城を崩すのか……。後半戦に入り、いよいよ激しさを増す勝負から目が離せない。(編集担当:熊谷けい)