文部科学省はこのほど、来春開設予定の大学3校、大学院5校について、開設を認めるよう文部科学大臣に答申した。一方で、学校法人幸福の科学学園が認可申請していた「幸福の科学大学」については、設置「不可」との判定を下した。
文科省が幸福の科学大学の設置を不可とした理由は、大川隆法氏の著作をベースとした科目を必修科目にしていることなどが挙げられている。著作では大川氏の基本的な思想を証明するためにいわゆる「霊言(霊言集)」を科学的根拠として取り扱っている。
しかし、大学で行われる「学問」とは、一定の理論に基づいて体系化され、一般化・普遍化されたものである必要がある。大川氏の著作にある「霊言(霊言集)」が、科学的根拠を持って一般化されたものではない、として学問の要件を満たしていないと判断された。
また認可審査の過程で、大川氏の著作が審議委員に送付されるなど、認可を強要するような不適切行為があったことも問題視された。
これを受けてネット上では「宗教的だからダメというなら、なぜ創価大学はいいのか」「創価学会と幸福の科学はどう違うのか」などの書き込みがなされている。
これについては、設置学部も関係していると推測される。両者は、設置母体に宗教法人が大きくかかわっている点は確かに共通している。しかし、創価大学に設置されているのは経済学部、法学部、看護学部、文学部、工学部など一般的な科目である。
これに対して幸福の科学大学で申請があった学部は「人間幸福学部人間幸福学科」など、宗教的色彩が濃いものとなっている。
学問はあくまで中立的立場から行われ、特定の思想を盛り込まないのが望ましい。その意味で、今回の文科省の判断は適当だったといえよう。しかし、すでに幸福の科学中学校・高等学校は2010年に開校しており、授業内容には宗教も含まれている。文科省は著作送付など不適切行為に対する措置として、最長5年は認可を認めない方針も示しているが、今後の同団体の動向も気になるところだ。(編集担当:横井楓)