人手不足や景況感の回復をきっかけに、初任給引き上げの動きが加速している。民間のシンクタンクである産労総合研究所が、全国の企業235社のアンケート調査をまとめた結果、2014年4月に確定した初任給を「引き上げた」割合は27.2%と、昨年の10.7%から倍増した。初任給額は、大学卒で20万4148円、高校卒で16万3752円だった。
調査は同研究所が、1961年から毎年実施している。今年は4月~5月にかけて、全国の1部・2部上場企業と、過去に同調査に回答のあった企業から任意に抽出した3000社を対象に、アンケートを郵送。締切日までに回答のあった235 社について集計した。回答企業の内訳は、「製造業」が4割、「非製造業」が6割。従業員数は、製造業・非製造業のうち、それぞれ約半数が「1000人以上」、となっている。
2014年4月入社者の初任給(通勤手当、時間外手当などは除く)を「引き上げた」企業は27.2%、「据え置いた」企業は69.4%、「その他等」が3%だった。初任給を引き上げた企業は、昨年の10.7%から2.5倍に増加した一方、据え置いた企業は昨年から15ポイント減少している。昨年までは、5年連続して「初任給を据え置いた」との回答が9割弱を占めていたが、今年は7割台を割り込んだ。
企業が初任給引き上げに踏み切った理由は、「在籍者のベースアップがあったため」が最も多く51.6%、次いで「人材を確保するため」(45.3%)、「初任給の据置きが長く続いていたため」(9.4%)となっている。約3割がベースアッブを実施した今春闘の結果や、人手不足感を背景に、賃上げが加速したようだ。
昨年の回答では、「初任給を引き上げた」企業のうち、大学卒や高校卒など「一部学歴のみ」引き上げを行った企業が半数を占めていたが、今年は約8割が「全学歴で引き上げた」と回答。「一部学歴のみ」は2割にとどまった。
今年の初任給額をみると、職種やコースによる格差がなく、一律に初任給を決定している企業の場合、大学卒は20万4148円、高校卒は16万3752円となっている。総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務のように、コース別に初任給を決めている場合、大学卒で基幹職が20万6883円、補助職が18万5478円だった。高校卒では、基幹職16万7205円、補助職15万8523円となっている。(編集担当:北条かや)