音楽関連事業を展開するエイベックスは10月22日、新たにアパレル事業へ参入することを発表した。ブランド名は「麻世妙 majotae(まよたえ)」で、大麻布を取り扱う。「大麻布」と「エイベックス」という異色の組み合わせは、高い関心を集めそうだ。
音楽関連事業を展開するエイベックス・グループ・ホールディングス<7860>は10月22日、新たにアパレル事業へ参入することを発表した。ブランド名は「麻世妙 majotae(まよたえ)」で、大麻布を取り扱う。日本古来の伝統品である「大麻布」と「エイベックス」という異色の組み合わせは、高い関心を集めそうだ。話題性に目をつけ、いち早く共同開発に手を挙げたのは三越伊勢丹ホールディングス<3099>。2015年春夏までの商品化を目指す。
プロジェクトの発起人となるのは「近世麻布研究所」の吉田真一郎所長と、「京都帯匠誉田屋」10代目の山口源兵衛氏だ。吉田氏は自然布に精通しており、江戸時代の大麻布と苧麻布の繊維・糸を研究している。「麻世妙」は古くから日本で使用されていた大麻布の魅力を再発掘し、現代社会のニーズに合わせて伝統と新しさを融合させた商品を提案する。
大麻布は「ヘンプ」とも呼ばれており、リネンよりも涼しい肌触りが特徴だ。繊維は中空となっているため通気性がよく、吸湿、吸汗に優れている。強度は綿の8倍とも言われており、用途はデニムや着物などの服飾をはじめ、丈夫さを生かして家具やファブリック製品まで幅広い。
原料となるのは無害な輸入大麻繊維だ。日本では約1万年前から大麻が生活に利用され、繊維を加工して布地に用いられてきたが、第二次世界大戦を機に法律で栽培が規制されたことから現在ではほとんど取扱われなくなってしまった。また繊維の太さや長さが一定していないため、紡績加工を施すことが難しく一昔前の技術では工業化できなかったことも市場から消えてしまった理由のひとつとして挙げられる。
「麻世妙」はエイベックスの竹内成和代表取締役と吉田氏、山口氏との出会いをきっかけにスタートしたプロジェクトだが、大麻に関する法的問題や取扱いの難しい繊維の加工技術などがネックとなり、事業化にこぎつけるまでには3年半もの月日がかかった。竹内代表取締役は発表会にて、音楽や映像で数々の感動を発信してきたが、エンターテインメントに限らず文化事業の担い手としても積極的に取り組んでいきたいと語った。(編集担当:久保田雄城)