政府は10月24日、実際の効果が確かではないのにあたかも有効であるかに謳った食品表示や食材偽造に対し、課徴金制度の導入を閣議決定した。改正景品表示法案として国会に提出し、早ければ2016年春までに施行される。
発端となったのは13年に発覚して問題となった、ホテルやレストランなどで横行していた食材偽造だ。「ビーフステーキ」と表示されていたものが牛肉に牛脂を注入した加工肉であったり、「芝エビ」とメニューに記載しているにも関わらず実際に客に提供していたのは「バナメイエビ」だったという嘘の表示が次々と明らかになった。付加価値を高めるべく産地を偽って表示している例も多く、ザ・リッツ・カールトン、帝国ホテル<9708>、ホテルオークラ、ヒルトン東京など、一流ホテルでごまかし行為が常態化していたことにも注目が集まった。食の安全問題と相まって、消費者の間で外食への不信感が広がるきっかけとなった。
改正法案で検討されている課徴金額は、不当表示による商品の売上額の3%となる。しかし違法行為をしていた場合でも自主的に申告すれば半分に減免され、また売上高が3年間で5,000万円未満の場合は課徴金の対象外になるという。調査にかかる費用が高つくためとしているが、これを基準にすれば、実際に課徴金が課されるのは不正を把握している事案のうち半分以下となるという。法の抜け道にならないよう、売上高が満たない業者に対しても何らかの措置は必要となるだろう。
有村治子消費者行政担当相は閣議決定後に記者会見に応じ、消費者の権利として商品を正しく選択するためにも、偽装は見逃せないと述べた。ただ、課徴金の対象基準についてや、不当表示商品の売上額3%という目安は、過去の事例を踏まえた利益率などから設定されたものとして「妥当」との考えを示した。消費者団体からは3%では「低すぎる」という声も上がっている。課徴金制度が不正の抑止力になるよう、基準値を見直す必要を感じる。(編集担当:久保田雄城)