期限切れ肉使用問題 日本マクドナルドに公開要望書

2014年09月16日 07:33

 改めて日本の食の安全を大きく揺るがす事件となった日本マクドナルド<2702>の「期限切れ肉使用問題」。同社は中間決算発表の場において記者会見を開き、被害の状況や今後の対応策について説明を行ったが、日本消費者連盟と食の安全・監視市民委員会は8月、この問題に関する新たな要望書をマクドナルドに提出した。

 要望書では消費者からの不具合情報受付窓口を設置することや、原料原産国表示の実施、問題となった商品であるチキンマックナゲットの店舗別販売実態などを各店舗で公開することなどを求めている。普段インターネットを利用していない消費者にも情報を周知するためだという。

 マクドナルドでは食材の調達先について特定の国や企業に依存することなく、グローバルな取引を展開している。そのため、今回の問題発覚後チキンマックナゲットはすぐにタイからのものに切り替えられている。危機管理に対する意識や準備は「さすがマクドナルド」と思わせる素早さではあったが、それでも企業としてのイメージダウンはやはり避けられないだろう。

 マクドナルドはここ数年間、業績不振に苦しんでいる。今年前半の売上高も5ヶ月連続マイナスで、客数に至っては14ヶ月連続で前年実績を下回っている。2004年から8年連続で既存店売上高を更新し続けてきたような勢いはもはや完全に消えうせてしまっている。

 食品の安全性や品質に対する目が最も厳しいのが日本である。食品業界ほど一度失った信頼を取り戻すことが難しい業界は無いだろう。去年新たに社長に就任したサラ・カサノバ氏にとってもいきなりの試練となった。

 9月からは子供向けセット商品のハッピーセットで「妖怪ウォッチ」とコラボするなど業績回復のためにマクドナルドも様々な手を打ってきている。週末は各店で長い行列が出来るほどの盛況ぶりだ。だが、このようなグッズ目当ての売上は永くは続かない。食の安全について消費者の信頼を取り戻さなければ早晩再び業績は悪化してしまうだろう。マクドナルドには要望書に誠意を持って応え、改めて商品の安全性確保に最大限の努力を払う姿勢を見せてもらいたい。(編集担当:久保田雄城)