食品産業事業者の約9割 消費者意識高揚感じる

2009年08月03日 11:00

 内閣府国民生活局輸入食品安全性確保調査チームが行ったフードチェーンの安全性確保に関する食品産業事業者アンケート調査で、事業者の86.9%が消費者意識の高まりや不安・不信の高まりを感じていることがわかった。

 これを反映して、製造業、飲食業を中心に、事業者に「安全な食品の提供」(90.1%)「食品に関する正しい情報の提供」(69.0%)を重視する姿勢が見られていると同調査チームは報告している。

 しかし、そうした意識が実態に反映されているかというと、取扱食品のほとんどで供給元までを把握しているところが4分の3(74.6%)あるものの、衛生管理状況まで把握している事業者は4割強にとどまっている。

 畜産業でも供給元・伝票記録・衛生管理状況・検査記録の4点全てを把握している事業者は27.9%、製造業では27.0%、小売業は6.3%、飲食店となると5.7%だった。同調査チームは「特に、川下の産業では把握が進んでいない」と指摘する。

 これは、小売業や飲食店を中心に、入荷食品についての安全性確保について「仕入先を信頼して何もしていない」(39.1%)という事業者が4割近くにも上っていることや安全性確保に伴うコスト負担が難しいなどとも関係していることが窺われる。

 また、ヒアリングによる調査で、最近の食品関連の事故・事件について「経済の低迷により利益の優先や低価格競争によるコスト削減などから、本来重視すべき食品の安全・安心がなおざりにされた結果、不当表示や食品偽装などが多発していると捉えている」こともわかった。同調査チームでは「マスコミ報道や消費者の知識不足による反応への疑問、輸入に頼らざるを得ない食料事情などを指摘するものも多かった」としている。

 このほか、消費者庁の役割については「食品に関する関連法規の再整備、資料・手続きなどの一元化の推進、事故情報の迅速な公表と対応、消費者への食品の安全・安心には経費が掛かることの啓蒙・周知活動やその他の情報提供、安全基準の基づくマスメディアへの適切な情報提供などが挙げられていた」。

 この調査は食品関連上場企業や食品産業関連団体加盟の食品関連企業、そのほか、中小零細企業を企業データにより業種別に系統抽出し、5万8173社を対象に郵送によるアンケートを実施。この結果、上場企業91社を含む1万3099社から有効回答が得られた。また、優良事例として他の事業者の参考になる取組をしている事業者30社に対して面接調査を実施している。
(編集担当:福角やすえ)