11日のNYダウは、政府機関や銀行の休業日で債券、為替市場が休場する「ベテランズ・デー(復員軍人の日)」で薄商い。マイナスの時間も長かったが1.16ドルの小幅高で5日連続史上最高値を更新した。NASDAQは8.93ポイント上昇。10~12月期の見通しを上方修正した住宅建設のD.R.ホートンは2.2%上昇。ヘルスケア関連のメルク、ユナイテッドヘルスはともに1.0%上昇と買われた。アリババは11日の中国「独身者の日」の売上が90億ドル(約1兆円)を上回ったと発表したが、前日が上場来高値更新だったこともあり3.9%下落。ドル円は一時116円台にタッチし、12日朝方の為替レートはドル円が115円台後半、ユーロ円が144円台後半で、前日よりも円安が進んでいた。
前日午後3時に発表された10月の景気ウォッチャー調査は、現状判断指数は9月から3.4ポイント低下し44.0。2ヵ月ぶりに悪化して50を3ヵ月連続で下回った。先行判断指数は9月から2.1ポイント低下し46.6で5ヵ月連続悪化。内閣府は4月以来の基調判断下方修正を行った。もし発表がザラ場中だったら先物売りに口実を与え、日経平均17000円台はまたお預けになっていたかもしれない。前日は榊原経団連会長が麻生財務大臣に法人減税の要請とともに「来春も賃上げしたい」と申し入れた。連合会長ではなく経団連会長が言うのだから時代は変わった。
CME先物清算値は17225円。取引時間前に発表された10月のマネーストックはM2が3.2%増、M3が2.6%増。9月の第三次産業活動指数は1.0%増で3ヵ月ぶりのプラスだった。鬼門中の鬼門「SQ週の水曜日」の日経平均は129.01円高の17253.12円で始まる。TOPIXもプラス。序盤はいったん17300円前後でもみあった後、午前9時台後半に再び上昇し9時47分に17389円の高値。その後は17300円台後半で高止まりするが、10時15分頃からおおむね17300円台前半に水準を下げる。中国市場は上海マイナス、香港プラスで始まるが日経平均は反応薄で安定した値動きが続く。11時前から再び上昇し11時5分に17400円を突破して17411円まで上がるが、菅官房長官が「消費増税の先送りはあり得ない」と発言するとドル円は115円台前半まで円高に振れ、日経平均は17200円台まで下落し、前引けは17273円だった。
後場は17300円台に戻して再開。17350円前後でもみあった後、午後1時ジャストに17400円台も回復。鬼門と言うほどの下げでもなく、速報では伝わらなかった発言のニュアンスが理解され官房長官はホッとした? 為替も徐々に円安方向に戻していた。1時4分に17443円の高値を更新した後は、17400円を軸に上下30円ほどの値動き。2時に17350円近辺まで下げ、2時台には徐々に下に向かう。しかし終盤になると17300円、17200円を次々崩されて、ついに襲ってきたSQ週の水曜の鬼。その直前、国会では麻生財務大臣が消費税率の10%への引き上げは「待ったなしの話だ」と発言していた。2時44分に17170円まで下げて安値をつけ、大引け前は17200円近辺に張りついたまま。それでも終値ベースの年初来高値を更新し72.94円高の17197.05円で続伸。日中値幅は273円。TOPIXは+1.84の1377.05。売買高は31億株、売買代金は3兆2703億円にふくらんだ。
株価指数がプラスでも値上がり銘柄555に対し値下がり銘柄は1190で64%を占めた。上昇した業種は18、下落した業種は15。プラスセクター上位は不動産、空運、小売、精密機器、パルプ・紙、陸運など。マイナスセクター下位は建設、海運、鉄鋼、卸売、繊維、機械などだった。
日経平均採用225種は値上がり111銘柄、値下がり107銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+14円、2位は住友不動産<8830>で+9円。マイナス寄与度1位はダイキン<6367>で-7円、2位はKDDI<9433>で-5円だった。
メガバンクはみずほ<8411>0.1円安、三菱UFJ<8306>0.6円安、三井住友FG<8316>7.5円安。野村HD<8604>は4.2円高。自動車大手はトヨタ<7203>は26円高で年初来高値を更新しホンダ<7267>は60円高、日産<7201>は6円高だったが、マツダ<7261>は13円安、富士重工<7270>は50円安とまちまち。
「4Kテレビ」に引っ張られ、消費増税後も5月以降は前年同月比プラスだった液晶テレビの販売額が、10月は2.1%減で6ヵ月ぶりのマイナスに転じたという調査結果が出た。それでもソニー<6758>は11.5円高で連日の年初来高値更新。シャープ<6753>は4円高だったがパナソニック<6752>は年初来高値を更新しながら8.5円安、東芝<6502>は4.5円安。NEC<6701>は6円安、富士通<6702>は10.3円安と続落した。
ダイキンは通期の純利益が22%増の1130億円で過去最高の見通しを出したが「材料出尽くし」で186円安。TDK<6762>は太陽光発電装置用に耐熱コンデンサを量産すると発表し90円高で年初来高値更新。日本信号<6741>は通期の営業利益見通しを71億円から80億円に上方修正、期末配当予想を10円から12円に増額修正し3円高だった。
三菱重工業<7011>はインド・バンガロール近郊に現地生産工場を建設し変速機の歯車の加工機械を2015年4月から生産すると報じられたが終盤急落し3.2円安。10月の工作機械受注は31.2%増で、スマホ、自動車向けを中心に設備投資需要は高止まり。半導体製造装置関連も業績拡大で、東京精密<7729>は通期営業利益見通しを94億円から100億円に上方修正し、中間配当、期末配当予想を15円から22円に増額修正して201円高で値上がり率4位。TOWA<6315>は通期営業利益見通しを13.5億円から20億円に上方修正して7円高。小型自動旋盤のツガミ<6101>は昼休みに通期見通しの売上高を460億円から500億円、営業利益を60億円から67億円、純利益を40億円から46億円に上方修正して2円高だった。
建設セクターは不振で業種別騰落率最下位。売買高11位の熊谷組<1861>は28円安で値下がり率6位と大幅安で、5位福田組<1899>、7位奥村組<1833>、9位西松建設<1820>、11位建設技術研究所<9621>、12位日特建設<1929>、16位戸田建設<1860>、20位前田建設工業<1824>が値下がり率ランキング20位以内に入った。
JFEHD<5411>は、JFEスチールが台湾の石油化学大手、台湾塑膠工業(台湾プラスチック)グループがベトナムで建設中の年産700万トンの大型一貫製鉄所の運営に参画する検討に入ったが値動きなし。太平洋セメント<5233>の4~9月中間期決算は売上高1%増、純利益は78%増で過去最高益を更新したが7円安。住友大阪セメント<5232>は4~9月中間期の純利益は28%減だったが3円高。昭和シェル石油<5002>が1~9月期決算を発表し、売上高6%増でも営業利益は58%、純利益は51%の大幅減益。原油価格下落で在庫評価損が増加し石油事業の営業利益は78%減。太陽光パネル、売電などエネルギーソリューション事業の営業利益は39%増。原油価格下落が続くとみて、12月期通期の純利益を370億円から前期比67%減の200億円に下方修正し12円安。