【日経平均】オバマ民主党完敗による円安を味方に74円高

2014年11月05日 20:22

 中間選挙投票日の4日のNYダウは17ドル高と小幅反発。NASDAQは15ポイント反落した。午前は大きく下げる場面もあったが、午後は前日終値付近のもみあいに終始した。EUが今年のユーロ圏成長率見通しを0.8%に下方修正し、ECB内部の不和報道に加え貿易赤字が市場予測よりも悪化し、1バレル75ドル台と原油先物市場の下落が止まらず不安をあおったが、製造業受注は0.6%で市場予測と一致。注目のアリババの上場後初決算は総収入53.7%増で、純利益は38.6%減ながら上場に伴う特殊要因を除くEPSは市場予測と同じで、株価は4.2%上昇し投資家心理を明るくした。シェブロンは1.2%、エクソンモービルは0.8%、コノコは2.5%下落。5日朝方の為替レートはドル円は113円台半ば、ユーロ円は142円台半ばで、ユーロが少し高くなっていた。

 CME先物清算値は16945円。取引時間前に10月末のマネタリーベースが発表され、255兆円で前年同月の185兆円から70兆円、37%増。それを年間80兆円増にペースアップすると日銀は10月31日に決めている。日経平均は77.03円安の16785.44円で反落スタート。TOPIXもマイナスで始まる。プラスに浮上し午前9時36分に16959円のピークをつけた後、10時を回ると再びマイナスに沈む。TOPIXも同じ「いってこい」のパターンを描き、上昇5波動、下落3波動の「エリオット波動」がきれいに現れた。上海はプラス、香港はマイナスで始まる。11時前には16800円を一時割り込み、TOPIXは安値を更新。2日で1200円以上も上昇すると利益確定売りが入りやすく、アメリカ中間選挙の開票速報待ち、7日の雇用統計待ちの様子見もひろがる。11時台は日経平均は下げ幅を圧縮して一時プラスにタッチしたが、前引けは35円安の16827円だった。

 昼休みに日銀の黒田総裁が東京都内で講演し、「できることは何でもやる」「人々の間に染みついたデフレマインドを抜本的に転換する必要がある」「2015 年度の成長率はプラス1.5%」「必要になれば躊躇なく調整を行う」など自信と強気の発言を連発。いつも通りでも反応はいつもとは違い、為替のドル円は円安方向に振れた。

 後場は前引けより安く始まるものの下げ幅を圧縮して前日終値に接近。それでもプラスにならず午後0時台は16820~16850円のレンジで小動き。1時時点で売買高20億株、売買代金2兆円の大台をクリアし前日から活発な売買が続く。1時台になるとようやくプラスに変わり16900円近くまで上昇。1時30分すぎ、アメリカ中間選挙で与党民主党が上院でも下院でも過半数を割って完敗という速報が流れた。「議会のねじれ解消」「伝統的に産業政策や軍事に予算を回す共和党の勝利」を好感して為替レートが反応しドル円は114円台、ユーロ円は143円台に乗せる。日経平均も16900円台に乗せるが利益確定売りに阻まれ長続きしない。2時頃にマイナスにタッチするが、そこから終盤にかけて上昇開始。16900円台を回復したかと思えば16950円も突破。高値を取りながら17000円を目指し、2時56分に16995円まで上がったが大引けで急落し約7年ぶりの終値17000円台はお預け。それでも74.85円高の16937.32円で5日続伸し終値ベースの年初来高値を更新した。日中値幅は217円。TOPIXは+3.11の1371.76。売買高は34億株、売買代金は3兆5458億円だった。

 値上がり銘柄は1069で全体の58%を占め、値下がり銘柄は652。23業種が上昇し10業種が下落した。プラスセクター上位は空運、電気・ガス、水産・農林、パルプ・紙、繊維、輸送用機器など。マイナスセクター下位は不動産、金属製品、鉱業、石油・石炭、情報・通信、証券などだった。

 日経平均採用225種は値上がり144銘柄、値下がり76銘柄。プラス寄与度1位は年初来高値を更新したファーストリテイリング<9983>で+37円、2位はホンダ<7267>で+6円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-22円、2位はKDDI<9433>で-12円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>2.1円高、三菱UFJ<8306>1.9円安、三井住友FG<8316>4.5円安。野村HD<8604>は2円安で銀行、証券はひと休み。輸送用機器セクターはザラ場中の円安進行で業種別騰落率6位まで上昇し、自動車大手は、10月の新車販売が9.9%減だったトヨタ<7203>は、直後に決算を控え大引けでプラスに浮上し8円高、マツダ<7261>は10月の新車販売が7.9%増で36.5円高、ホンダは85.5円高、富士重工<7270>は94.5円高。日産<7201>は前日に4~9月中間期決算を発表し、売上高8%増、営業利益18%増、純利益25%増の過去最高の好決算で22円高。通期見通しは売上高は100億円上方修正し3%増の10兆8000億円。営業利益、純利益は据え置いた。中間、期末配当はどちらも前期比1円50銭増配し16円50銭。リコール問題の渦中のタカタ<7312>は通期の最終利益が黒字から260億円の赤字に転落する業績観測が出たが悪材料出尽くしなのか46円高。テクニカル指標を見て押し目買いが入るのは相場の風景が変わったせいかもしれない。

 電機大手はソニー<6758>は8.5円高、シャープ<6753>は9円高、日立<6501>は2.2円高。船井電機<6839>は通期の経常利益見通しを400億円から1400億円に上方修正するポジティブサプライズで154円高、値上がり率1位。大日本スクリーン製造改めSCREENHD<7735>は4~9月中間期の業績見通しを上方修正し56円高で年初来高値を更新して値上がり率7位に入った。

 ブラザー工業<6448>は通期の営業利益見通しを500億円から530億円に、純利益見通しを490億円から前期比2.7倍の510億円に上方修正したが13円安。日本製鋼所<5631>は通期の最終損益が赤字に転落し期末配当予想を2.5円から2円に減額修正したが26円高。両銘柄とも「材料出尽くし」と説明するしかないのか?