5日のNYダウは100ドル高で3日ぶりに史上最高値更新。しかしNASDAQは2.92ポイント下落した。ADP雇用統計は就業者数の伸びが市場予測を上回り、原油先物も反発。規制緩和や減税を主張する共和党が勝ち、政策の恩恵を受けやすい金融やエネルギーの銘柄が軒並み高。逆にヘルスケアやIT、ネット関連は弱含み。その代表銘柄のJPモルガン、シェブロンはともに1.5%上昇し、ファイザーは0.9%、インテルは2.2%、フェイスブックは1.2%それぞれ下落した。しかし軍事関連はロッキード・マーチンもボーイングもノースロップ・グラマンもレイセオンもなぜか全て下落。増収決算のタイム・ワーナーは4.0%上昇した。6日朝方の為替レートはドル円が114円台後半、ユーロ円が143円台前半で、円安がさらに進行していた。
CME先物清算値は17070円。日銀は前日に380億円分のETFを買い入れたと発表した。それ以前は147億円だったので「日銀砲」の威力2.58倍にパワーアップ。日経平均は56.14円高の16993.46円で始まり、TOPIXもプラスで1370台でスタート。日経平均は1分もたたないうちに17000円にタッチするが午前9時5分には16962円まで下げ、それを底に17000円に安定的に乗せる。9時23分に17045円まで上昇し、9時50分頃までおおむね17010~17040円の狭いレンジで小動きするが、その後は17000円を割って10時すぎに16960円近辺まで下げる。それでもリバウンドして10時30分までに17000円台を回復した。上海市場も香港市場もプラスで始まり、11時に10月の東京都心部のオフィス空室率が発表され、9月の5.65%から0.05ポイント低下し5.60%で2009年2月以来の低水準。しかし17040円付近まで2回上昇してもそこで頭を抑えられ高値を更新できない。11時台は17000円を割り込み前引けは16996円だった。NYダウは史上最高値、ドル円は11時すぎに7年ぶりの115円にタッチし円安も止まらないが17000円付近に壁あり。5日連騰する間に1600円以上も上昇すれば「スピード調整」「日柄調整」の言葉も聞こえてくる。
後場はドル円が115円台に定着したこともあり17000円台を回復して再開。ユーロ円も144円台に乗せ、午後0時45分に17045円の高値をつける。その後は17010~17040円のレンジで小動きするかと思えば、TOPIXから崩れて0時50分すぎから「ゲリラ急落」勃発。17000円も前日終値も16900円も一気に陥落し1時ちょうどに16846円まで急落した。その後も乱高下しながら下落し1時13分に16725円の安値をつけ、30分足らずの間に320円も下げた。TOPIXは1353まで下落し、為替はドル円もユーロ円も円高方向に約1円振れ114円台、143円台に戻る。今週は大きなボラティリティ覚悟だが、理由がわからないまま先物主導の裁定売りに利益確定売りがからみ、前場がプラスだったので「日銀砲」も沈黙したのか強烈な下げだった。
日経平均は16800円台を回復するがプラスまでは戻れずくすぶる。2時に内閣府から9月の景気動向指数速報値が発表され、一致指数は8月比1.4ポイント上昇の109.7、先行指数は1.2ポイント上昇の105.6でともに2ヵ月ぶりのプラスと悪くなかった。基調判断は据え置き。日経平均は発表直後に一時16800円を割るがすぐ元に戻る。2時台は16800円をはさんだ値動きで、終盤には下げ幅を圧縮する時間帯もあったがあっさり頭を抑えられ、終値は144.84円安の16792.48円で6日ぶりに反落した。日中値幅は昼下がりのゲリラ急落の前と後の間で320円。TOPIXは-15.41の1356.35。売買高は31億株、売買代金は3兆2452億円だった。
値上がり銘柄は345、値下がり銘柄は1418で全体の77%を占めた。上昇セクターは2業種、下落セクターは31業種。プラスは水産・農林、繊維。マイナスで下落幅が小さいのはゴム製品、輸送用機器、サービス、化学工業など。下落幅が大きいのは不動産、電気・ガス、その他金融、パルプ・紙、陸運、銀行などだった。
日経平均採用225種は値上がり38銘柄、値下がり184銘柄。プラス寄与度1位は日清紡HD<3105>で+5円、2位は東京エレクトロン<8035>で+4円。マイナス寄与度1位は京セラ<6971>で-11円、2位はファーストリテイリング<9983>で-8円だった。
みずほ<8411>3.6円安、三菱UFJ<8306>12.8円安、三井住友FG<8316>107.5円安とメガバンクは不振。野村HD<8604>は11.2円安。その他金融セクターも業種別騰落率31位とふるわない。ジャックス<8584>の4~9月中間期決算は営業利益6.7%増、その通期見通しを123億円から131億円に上方修正し、年間配当予想を12円から14円に増額したが、材料出尽くしなのか「パンを求める者に石を与える」ように80円安で値下がり率1位にされた。
輸送用機器セクターはマイナスながら業種別騰落率4位。富士重工<7270>は売買代金3位と買いを集め28.5円高で年初来高値を更新。マツダ<7261>は同8位で9円安。ヤマハ発動機<7272>は後場に1~9月期決算を発表し、ヨーロッパの二輪車事業やマリン事業が好調に推移し増収増益で営業利益68.4%増。12月期通期の営業利益を830億円から860億円に上方修正し、79円高で年初来高値を更新した。
電機大手は軒並み安。ソニー<6758>は78.5円安、シャープ<6753>は売買高9位だが4円安、東芝<6502>は3.3円安、日立<6501>は8.3円安。ダイヘン<6622>は営業利益26%増という通期見通しを出し14円高。テルモ<4543>は通期の純利益が2%減の見通しで92円安と売られた。理想科学<6413>は16万株、5億円を上限とする自社株買いと、12月31日を基準日に1株を2株に分割する株式分割を同時発表し170円高。芦森工業<3526>は4~9月中間期の利益予想を下方修正して10円安。ミネベア<6479>は4~9月期の純利益約2倍で過去最高益を更新し年初来高値を更新しながら後場の急落に巻き込まれ50円安だった。
IHI<7013>は4~9月中間期決算を発表し、売上高13%増、純利益64%増で4期ぶりに過去最高を更新し1円高。円安で利益が約100億円改善した。通期見通しは据え置きだが想定為替レートがドル円100円と低く上方修正の余地あり。金融系システム開発の東邦システムサイエンス<4333>は期末一括配当予想を前期から50銭引き上げ13円とし、11月30日を基準日に1株を2株に分割する株式分割を発表すると182円高で年初来高値を更新し値上がり率1位になった。
錢高組<1811>は前場に4~9月中間期の業績見通しを発表し、営業利益、経常利益、純利益が黒字転換し19円高で年初来高値更新。東京電力<9501>は9円安だが売買高4位、売買代金10位と商いは旺盛だった。JFEHD<5411>はJFEエンジニアリングが100億円規模でドイツのごみ処理・発電プラント大手を買収すると報じられたが16.5円安だった。
大陽日酸<4091>は三菱ケミカルHD<4188>によるTOBが無事完了し117円高で年初来高値を更新し値上がり率3位。12日に連結子会社化する三菱ケミカルHDは4.2円安。上場は維持する。日本化学産業<4094>は住友金属鉱山<5713>から二次電池用正極材ニッケル酸リチウムの製造工程の一部を受託。現在ほぼ全域が避難指示解除準備区域の福島県楢葉町の工場の一部を貸与し、住友金属鉱山はそこに電気自動車用リチウムイオン電池の主力部材の原料工場を新設する。投資額は30~40億円。日本化学産業は15円高、住友金属鉱山は34円安。被災地復興の象徴的存在になるか? 日本特殊塗料<4619>は通期の営業利益見通しを7億円から10億円に上方修正し48円高で値上がり率15位に入った。