前週末7日のNYダウは19ドル高で3日連続史上最高値を更新したが、NASDAQ総合指数は5.94ポイント下落した。10月の雇用統計は、失業率は市場予測の5.9%より低い5.8%に改善したが、非農業部門就業者数は市場予測の9月比23万人増に対し21.4万人増と下回った。8、9月の就業者数の伸びは上方修正されたが、「イラク派兵倍増」のニュースもあり株式市場はもみあいの末に小幅高、為替はドル売りという反応。原油や金の先物は上昇しシェブロンは0.2%、エクソンモービルは1.1%、コノコは1.2%上昇。シアーズは保有店舗のREIT化を好感され31.0%の大幅上昇。決算が悪かったウォルト・ディズニーは2.2%下落した。10日朝方の為替レートはドル円は114円台半ば、ユーロ円は142円台後半で、円高方向に振れていた。
CME先物清算値は16775円。日経平均は122.11円安の16758.27円で始まる。TOPIXもマイナス。午前9時4分に16713円まで下落した後は16750円をはさんだもみあいが続くが、為替に調整が入ってドル円が114円台前半、ユーロ円が142円台前半まで円高が進行するのでプラスに浮上できない。するとパワーアップした「日銀砲」が後場に炸裂する期待が出たせいか10時台に下げ幅を圧縮し16800円台に乗せる。10時30分に中国の10月の生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)が発表され、PPIは2.2%下落で市場予測より悪く、CPIは1.6%上昇で市場予測と一致した。日経平均は16800円台から滑り落ち11時すぎには16750円も割り込む。その後は15760円付近ではね返されるまま、前引けは16758円だった。
後場は前引けとほぼ同じ水準で再開し、16800円にもタッチしながら午後0時台、1時台は16760~16800円のレンジの値動きが続く。円高の進行もその間は小康状態だったが、2時を回るといきなりドル円が114円割れし、日経平均も一気に16720円付近まで凹む。しかしそれも一時的で仕掛け売りは不発。GPIFや日銀の買い入れは「下がれば買いが入るぞ」と思わせるだけでも抑止力があるらしい。2時台後半はドル円は114円台に戻して日経平均も16760~16780円で底堅く静かに推移し、動きに乏しいまま大引けになり終値は99.85円安の16780.53円と反落した。日中値幅は105円。TOPIXは-3.56の1360.11。売買高は20億株、売買代金は2兆516億円と前週からクールダウンしていた。
TOPIXはマイナスだったが、東証1部の値上がり銘柄数は939で全体の51%を占め、値下がり銘柄数781より多い。33業種別騰落率は値上がり17業種、値下がり16業種でゴム製品と小売の2業種はほとんど値動きなしでほぼイーブン。プラスのセクターの上位は鉱業、鉄鋼、パルプ・紙、非鉄金属、海運、石油・石炭など。マイナスのセクターの下位は情報・通信、医薬品、輸送用機器、電気・ガス、精密機器、食料品などだった。
日経平均採用225種は値上がり103銘柄、値下がり116銘柄とほぼ拮抗。プラス寄与度1位はソニー<6758>で+3円、2位は太陽誘電<6976>で+2円。マイナス寄与度1~3位はファーストリテイリング<9983>、ファナック<6954>、ソフトバンク<9984>の順で「日経平均寄与度御三家」が揃い踏みし合計で日経平均を54円引き下げ、値下がり幅の半分以上を占めていた。
メガバンクはみずほ<8411>は0.2円高、三菱UFJ<8306>は2.4円高。三井住友銀行がシティバンク銀行の個人向け業務の買収交渉に入る見通しと伝えられた三井住友FG<8316>は36円高。総資産約1兆円で国内最大規模の外貨預金も含まれる。野村HD<8604>は1.6円高。ノンバンクのクレディセゾン<8253>は通期の営業利益見通しを6.4%減の340億円から15.6%増の420億円に上方修正したが乱高下して26円安だった。
円高の進行でトヨタ<7203>は105円安、富士重工<7270>は81円安、ホンダ<7267>は56円安。スズキ<7269>は反発して19円高だった。2015年にも中国の第一汽車グループ向けに、インドネシアで生産した小型低燃費エンジンを年間約10万台分供給すると報じられたダイハツ工業<7262>は17円安。中国などアジアで環境規制が強まれば技術的に優位に立てる。ホンダ系部品メーカーのケーヒン<7251>は後場に4~9月中間期決算を発表し営業利益30%増。通期の営業利益見通しを210億円から220億円に上方修正し、年間配当予想を31円から34円に増額修正すると165円高で値上がり率3位に入った。アメリカで欠陥エアバッグの話が大きくなるばかりで「Everyone is talking about Takata」になっているタカタ<7312>は、今度は民主党の2人の上院議員が司法省に刑事訴追を要請したと報じられ239円安で3日続落し値下がり率1位。踏んだり蹴ったり。
パナソニック<6752>は野村證券が目標株価を引き上げ0.5円高。ソニーも野村證券が目標株価を引き上げ86円高で年初来高値更新。シャープ<6753>は逆に野村證券が目標株価を引き下げたが2円高、東芝<6502>は1.1円高、日立<6501>は3.5円安、OKI<6703>は4円高、パイオニア<6773>は4~9月中間期の経常利益は赤字。通期経常利益見通しを市場予測と逆に75億円から55億円に下方修正した。純利益は20億円を200億円に上方修正したが、事業売却の特別利益計上では言い訳にならず21円安で値下がり率11位に甘んじた。
ホシデン<6804>は7日に自社株買いを発表し57円高で値上がり率4位。太陽誘電<6976>は68円高と買われた。液晶検査装置のブイ・テクノロジー<7717>は、液晶パネルメーカーの設備投資時期の先延ばしや工場建設の遅れが影響し、通期の営業利益見通しを23億円から10億円に下方修正し196円安で分割後安値を更新して値下がり率10位だった。
NTT<9432>が7日に発表した4~9月中間期決算は、売上高2%増、営業利益10%減、純利益10%減。データ通信は好調だが利益の足を引っ張ったのはこの日は31円安のNTTドコモ<9437>。通期の純利益見通しを5860億円から前期比10%減の5290億円に下方修正し277円の大幅安。「自社株取得枠の拡大」では歯止めにならなかった。KDDI<9433>は1円高だったがソフトバンクは59円安で、この日の情報・通信セクターは業種別騰落率最下位に沈んだ。川内原発再稼働のための地元手続が全て終了した九州電力<9508>は29円安。再稼働すれば昨年9月に関西電力<9503>大飯原発4号機が定期検査で停止して以来になる。