6日のNYダウは69ドル高で連日の史上最高値更新。NASDAQ総合指数は17ポイント上昇で反発した。注目のECB理事会は金融政策現状維持ながらドラギ総裁は記者会見で「非伝統的手段も使う」「事務方に準備を指示した」と追加金融緩和に意欲的な姿勢をみせた。年明けにもユーロ圏の国債買い入れか?と期待を集めヨーロッパ市場は堅調。雇用統計発表を前に新規失業保険申請件数は27.8万件で市場予測を超える改善をみせマーケットのムードを明るくした。GEが2.1%、マイクロソフトが1.8%、ホームデポが1.6%上昇。クアルコムは増収増益でもEPSが市場予想を下回り8.6%下落。7日朝方の為替レートはドル円が115円台前半、ユーロ円が142円台後半で、ECBの国債購入期待による債券高でユーロは安くなっていた。
CME先物清算値は16945円。衝撃の「日銀ハロウィン緩和」から1週間目の日経平均は141.56円高の16934.04円で始まる。TOPIXは1360台を回復して開始。午前9時40分頃までは16900円台を維持したが、その後は16800円台後半で伸び悩み9時48分に16858円まで下げる。上海はプラス、香港はマイナスで始まり、10時30分前後に16900円台に上昇するが取引開始直後の高値16938円は抜けられない。利益確定売りの金曜日にアメリカ雇用統計の発表待ちが加わって上値を追いにくい。10時台のうちに16800円台に戻って前引けは16865円。TOPIXは前場はずっと1360台だった。
後場は16850円を割り込み安値を取って再開し16824円まで下落したが、すぐに16800円台後半まで戻る。午後1時台の前半まで16840~16880円のレンジで動いたが、その後は一段高になり16900円前後の水準。その間、ドル円115円台半ばまで円安が進んでいた。それでも2時台は再び16850円近辺まで下落。終盤に少し上昇し終値は87.90円高の16880.38円と反発し3勝1敗、前週末10月31日終値から466.62円高、終値で17000円に届きそうで一度も届かなかった今週の取引を終えた。日中値幅は114円で今週最少。TOPIXは+7.32の1363.67で1360台のまま。売買高は24億株、売買代金は2兆4764億円で今週最少だった。
東証1部の値上がり銘柄数は1111で全体の60%を占めた。値下がり銘柄数は617。33業種別騰落率は26業種が上昇、7業種が下落。プラスのセクターの上位は電気・ガス、ガラス・土石、機械、パルプ・紙、卸売、サービスなど。マイナスのセクターの下位はその他製品、その他金融、保険、鉄鋼、情報・通信、水産・農林などだった。
日経平均採用225種は値上がり163銘柄、値下がり58銘柄。プラス寄与度1位はファナック<6954>で+10円、2位はテルモ<4543>で+6円。マイナス寄与度1位はスズキ<7269>で-8円、2位はソフトバンク<9984>で-5円だった。
メガバンクはみずほ<8411>0.7円高、三菱UFJ<8306>4.8円高だが三井住友FG<8316>は4円安。昼休みに「肥後銀行<8394>と鹿児島銀行<8390>が経営統合」という速報が流れ両行とも否定しなかった。肥後銀行は32円高、鹿児島銀行は24円高。経営統合すれば現状で九州で2位、全国で10位以内に入る。九州の地銀が連想買いされ、長崎県の十八銀行<8396>は28円高で値上がり率6位、大分銀行<8392>は27円高で同14位、佐賀銀行<8395>は16円高で同16位に入った。5行とも年初来高値更新。今週は地銀の再編に具体的な動きが出てきた。野村HD<8604>は0.2円安だった。
自動車大手は、トヨタ<7203>は大和証券が目標株価を引き上げ5円高で5日続伸。マツダ<7261>は38.5円高、富士重工<7270>は売買代金4位で51.5円安と売られた。スズキ<7269>の4~9月中間期決算は売上高4%増、純利益4%増で中間期最高益を更新。しかし通期見通しは売上高2%増、営業利益微増、純利益7%増で据え置きとし市場予測を下回った。消費増税の影響が予想以上に厳しく7~9月期は減益でアジアでも苦戦しているといい、野村證券がレーティングを引き下げ216円安で値下がり率15位。タカタ<7312>は111円安で値下がり率6位。4~9月中間期の最終損益は352億円の赤字で、通期の最終赤字を240億円から250億円に下方修正していた。
ソニー<6758>は27円高。アメリカのポリポア社とリチウムイオン電池の主要部材セパレーター(絶縁材)の共同開発で合意し、日経新聞のインタビューで津賀一宏社長が「M&Aなど戦略投資を1年前倒しする」と話したパナソニック<6752>は売買高11位、売買代金6位で37.5円高。リストラにメドがつけば攻勢に出られる。成長の核とみなす中・小型液晶パネルを2015年春から中国のスマホメーカー25社に供給するシャープ<6753>は1円高。日中間の海上コンテナ輸送に他社製品も積む混載物流サービスを始める東芝<6502>は2.5円高だった。
中国で来週のAPECを前に一時的に「北京秋天」の青空が戻ろうと、今や「生命維持装置」と化している空気清浄機が売れまくるダイキン工業<6367>は、通期の営業利益が従来予想を200億円上回り1900億円前後で2年連続過去最高益の業績観測が出て132円高。中間期決算が良かったミツミ電機<6767>も65円高で値上がり率7位。ディスコ<6146>は半導体や電子部品の設備投資回復で通期営業利益見通しを191億円から232億円に上方修正し、中間配当を64円から72円に、期末配当予想を40円から55円に増額修正。870円高で年初来高値を更新し値上がり率2位に入った。
業種別騰落率トップは電気・ガスセクター。鹿児島県議会本会議が川内原発の再稼働同意を賛成多数で可決し、伊藤鹿児島県知事も同意して九州電力<9508>は40円高。10電力全て上昇し、九電以外で上昇率が大きかったのは浜岡原発を抱える中部電力<9502>、大飯、高浜、美浜原発を抱える関西電力<9503>、伊方原発を抱える四国電力<9507>の順。福島第一(廃止)、福島第二、東通、柏崎刈羽原発を抱える東京電力<9501>は売買高5位で6円高だった。
大和ハウス工業<1925>は後場に決算を発表し通期業績見通しを営業利益、純利益とも30億円上方修正し49.5円高。三井海洋開発<6269>は潮流・風力ハイブリッド発電システムで減損損失を計上し12月期通期の純利益見通しを引き下げたため181円安で値下がり率8位。鉄鋼セクターは不振で業種別騰落率30位。売買高10位の新日鐵住金<5401>は1.5円安、同16位の神戸製鋼<5406>は1円安。しかしJFEHD<5411>は19円高だった。