週明け10日のNYダウは39ドル高で4日連続史上最高値更新。NASDAQは19ポイント上昇。前週の3日連続史上最高値更新を受けて高値警戒感と利益確定売りで安く始まったものの1時間ほどでプラス圏に浮上し、後は安定的に推移した。ロシア中央銀行が下落が続く通貨ルーブルを変動相場制に移行させたが影響は限定的。ナイキの1.3%上昇、ユナイテッド・ヘルスの1.2%上昇が目立ち、2週間後の感謝祭商戦を前にアマゾンとヤフーがどちらも1.8%上昇と期待を集めていた。11日朝方の為替レートはドル円は114円台後半、ユーロ円は142円台後半で、前日夕方から少し円安に振れていた。
前日、政府・与党は法人減税の引き下げ幅を2016年度までに2%台後半とし、2015年度は2%を軸に調整に入ったと報じられた。内閣支持率低下で「解散風」まで吹いてきたがどこまで本気かわからない。CME先物清算値は16920円。国際収支が発表され、9月の貿易収支は7145億円の赤字、経常収支は9630億円の黒字で、黒字の額は8月の2871億円も市場予測の5377億円も大きく上回った。4~9月の年度上半期の貿易収支は4兆3974億円の赤字、経常収支は2兆239億円の黒字。10月上・中旬の貿易収支は4563億円の赤字だった。
鬼門「SQ週」中の鬼門、火曜、水曜を迎えた日経平均は88.96円高の16869.49円で反発スタート。TOPIXも反発した。調整もすんだのか序盤は順調に上昇し午前9時7分に16900円を突破。国際収支の発表に反応したのかドル円は円安が進行し9時15分すぎに115円台にタッチした。しかし日経平均は頭を抑えられて16900円台を守れず、為替が円高方向に反転すると10時ジャストに16855円の安値をつけた。10時台は16880~16900円のレンジで動く。上海と香港の証券当局は前日、上海市場と香港市場の株式相互取引を17日に始めると発表した。それを好感してか上海総合指数も香港ハンセン指数もプラスで始まる。11時台にようやく16900円台に乗せて11時9分に16921円の高値をとり、前引けは16907円だった。
後場は16900円を割って安く始まるが、すぐ回復し午後0時台は高値を取りながら上昇して16950円を突破する。短い踊り場を経た後、ドル円が115円台に乗る円安進行を受けて1時10分にはついに節目の17000円を突破。「終値で大台」の期待が高まる。その頃、政界周辺で「来年の消費税の10%への引き上げは先送りにし、11月中に解散して12月に総選挙」という見方が強まり、与党幹部が準備を指示してにわかに「本気度」が高まった。日経平均は消費増税先送りを好感したのか1時45分すぎには17100円を突破した。
10月の全国企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は17%減で24年ぶりの低水準。2時に10月の消費動向調査の結果が発表され、消費者態度指数は38.9で9月から1.0ポイント低下し市場予測の40.5を下回った。内閣府は消費者心理の基調判断を「足踏みがみられる」から「弱含んでいる」に下方修正したが、日経平均は意に介さず永田町から吹く解散風を背に受け上昇を続け、4日のザラ場中の年初来高値17127円をあっさり更新した。2時19分には17160円のピークをつけるが、さすがにそこで折り返し。それでも17100円台を保ったまま大引けになり、終値は343.58円高の17124.11円で念願の大台に乗せ年初来高値更新。終値17000円台は2007年10月18日以来になる。日中値幅は305円もあった。TOPIXは+15.10の1375.21で終値ベースの年初来高値更新。売買高は24億株、売買代金は2兆5474億円だった。
値上がり銘柄は1139で全体の62%を占め、値下がり銘柄は573。30業種が上昇して下落は3業種だけ。プラスセクターの上位は精密機器、不動産、小売、空運、情報・通信、食料品など。下位は卸売、その他金融、海運など。マイナスのセクターは鉱業、ゴム製品、石油・石炭だった。
日経平均採用225種は値上がり192銘柄、値下がり30銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+66円、2位はKDDI<9433>で+29円、3位はNY市場でアリババが上場来高値という好材料があったソフトバンク<9984>で+19円、4位はファナック<6954>で+16円と「日経平均寄与度四天王」が上位に勢揃いし合計+132円と上昇幅の38.6%を占め、政界の話題に反応した先物主導の相場を裏付ける。マイナス寄与度1位はホンダ<7267>で-4円、2位はブリヂストン<5108>で-2円だった。
メガバンクはみずほ<8411>0.6円高、三菱UFJ<8306>3.8円高、三井住友FG<8316>20.5円高。日銀が発表した10月の銀行貸出残高は2.5%増で、都銀は1.3%増で貸出に積極的なのは地銀のほう。横浜銀行<8332>は前日に4~9月中間期決算を発表し、単体ベースの実質業務純益は3%減の521億円だが純利益は13%増の350億円で中間期では過去最高。通期見通しは純利益を630億円から前期比9%増の660億円に上方修正し8.3円高。福岡市が本店の第二地銀の西日本シティ銀行<8327>は22円高で年初来高値を更新し値上がり率11位。高松市が本店の百十四銀行<8386>は23円高で年初来高値を更新し値上がり率13位だった。野村HD<8604>は2.6円高。ノンバンクのアイフル<8515>が売買高3位、売買代金8位に入り4円高と買われていた。
トヨタ<7203>は101円高だったが、最高級車「レジェンド」を2年半ぶりに復活させるホンダは56.5円安と明暗が分かれた。富士重工<7270>は119円高、マツダ<7261>は26.5円高。ブリヂストンは前日に1~9月期決算を発表し、売上高は2%増、営業利益は7%増で3年連続、純利益は15%増の2256億円で2年連続過去最高益更新。しかし12月期通期の業績、配当見通しの据え置きをマーケットは問題視し68.5円安。横浜ゴム<5101>も40円安でゴム製品セクターはマイナスになった。
ソニー<6758>の平井一夫社長は日経新聞のインタビューで「エレクトロニクス事業の構造改革は仕上げに入った」「スマホ事業は今年度中に再生に向けた道筋をつける」と強気の発言をして株価は10円高で年初来高値更新。たとえカラ元気でも辛気くさいよりはいいか? シャープ<6753>は6円高。大分県佐伯市にできる日本最大級のバイオマス発電所に出資と報じられた東芝<6502>は0.8円高、東燃ゼネラル石油<5012>は3円高。発電所に出資して発電機を売るのは、大田黒重五郎氏が活躍した戦前の水力発電以来の東芝伝統のビジネス手法。富士通<6702>は15.4円安。NEC<6701>は、街中で人が着ているファッションをスマホで撮影すると、色や柄を識別してネット通販で似た商品を購入できるアプリを開発したが6円安。人が着ているものを欲しがる女心にウケるか? それとも気まぐれな返品が多発するか?
シチズンHD<7762>は前日に4~9月中間期決算を発表し、売上高6%増、営業利益30%増で純利益は49%の大幅増。通期の売上高は40億円下方修正、経常利益は20億円上方修正。純利益は20億円上方修正して185億円とし、減益が6%増益に変わって87円高で値上がり率2位。旺盛な設備投資需要で工作機械事業が想定を上回りそうだという。スマートメーターの大崎電気<6644>はいちよし経研がフェアバリューを引き上げ25円高で年初来高値更新。オムロン<6645>は野村證券が目標株価を引き上げ90円高。
SCREENHD<7735>は半導体製造装置の受注増を見込み通期純利益見通しを約2倍の112億円に上方修正し30円高で年初来高値更新。島津製作所<7701>は4~9月中間期の経常利益が17%増と好調で99円高で年初来高値を更新し値上がり率4位。建設現場の「AIRMAN」ブランドのコンプレッサーでおなじみの北越工業<6364>は87円高で値上がり率6位だった。
大手ゼネコン、プラント各社がザラ場中、相次いで4~9月中間期決算を発表した。大成建設<1801>の経常利益は6.7%減だったが、通期経常利益見通しを380億円から450億円に上方修正し減益幅を圧縮して7円高。大林組<1802>は経常利益が85.4%増と好調で12円高。鹿島<1812>は増収減益で、経常利益は7~9月期が赤字になったため37%減。通期見通しに対する進捗率が25.5%しかなかったが2円高。受注環境は良くても労務費の高騰で採算が厳しい。前日に決算を発表した清水建設<1803>はUBSが目標株価を引き上げ22円高だった。