日本では今から2年前の2012年、「MR生誕100年」を迎えた。大手製薬会社の営業部門を担う彼らは、医療機関を訪問し、自社の医薬品の情報を提供するのが主な仕事だ。普段はなかなか、表舞台に現れることがない現場のMRたちは、どんな仕事をしているのか。また、12年4月より、MRによる「接待」を自主規制する動きが始まったが、医療現場は、これをどう捉えたのか。
公益財団法人MR認定センターが12年、全国の医師やMRを対象に実施した調査では、MRが1ヶ月に訪問する医師は、平均123.7人、薬剤師は38.1人だった。
製薬会社225社からなる医薬品公取協(医療用医薬品製造販売業公正取引協議会)が、「医師に対する接待の自主規制強化」を打ち出したことについては、約6割の医師が「接待は必要」だと答えた。MRに尋ねたところ、「接待は必要」が約75%に上っている。
医師の中には、昼休みや診療後に「MRとの面会時間」を設けているケースも多いが、病院ごとに実態は様々だ。医師専用サイト「メドピア」を運営するメドピア株式会社が今年7月、会員医師を対象にアンケートを取ったところ、勤務先で「MRとの面会に取り決め・ルールがある」という回答が56.2%で最も多かった。「取り決め・ルールはない」は30.8%。特に決めていなくても、暗黙の了解として、昼休みや診療後などの時間帯で時間があれば会う医師が多いようだ。もともとMRの訪問回数が少ない「開業医」は、全体の10.9%だった(有効回答は3910人)。
「面会ルールがある」と答えた医師からは、「完全アポイント制で場所と時間は自由です(循環器内科)」と、接待の可能性も否定しない回答もあれば、「薬剤科を通じて、アポを取ることになっています。個人的には、MRとは2人きりで個室では会わないように、薬剤科にて薬剤師と一緒に会うようにしています。あとで何か疑われないようにした方がよいと考えております(一般外科)」という医師もいた。
「面会ルールがない」医師からは、「ルールは無いのですが、診療終了を狙ってアポなしのMRが毎日のように3~5社来る状況にうんざりしています。自主規制でも作ろうかと思っている今日この頃です(総合診療)」との声も上がっていた。(編集担当:北条かや)