女性や高齢者の社会進出が今後の日本経済の成長を支える大きな要素であると、現在様々なところで言われているが、しかし忘れてはいけないのが障害者が働くための支援である。筆者の住んでいる近くには障害者支援施設があり、そこでは毎週障害者の方々が焼いたパンが販売されており、大勢の人がパンを求めて集まっている。こうした取り組みは珍しいものではなく、様々な地域で形を変えて同様の「障害者が働き、社会参加するための支援」が行われている。
そして26日、厚生労働省が民間企業で働く障害者の割合(障害者雇用率)を発表。それによれば2014年6月1日の時点での障害者雇用率は1.82%であり、前年同期より0.06ポイント上昇し、過去最高を更新した。また雇用者数は前年同期比5.4%アップの約43万1000人であり、こちらも過去最高を更新した。
こうした障害者雇用率が上昇した背景には、民間企業に対して法律で義務づけられている障害者の雇用率が13年4月以降、1.8%から2%に引き上げられたことが要因としてある。15年6月1日時点で働いている障害者の障害別の内訳は、身体障害者が前年同期比3.1%アップの31万3315人、知的障害者が前年同期比8.8%アップの9万203人、精神障碍者が前年同期比2万7708人であった。精神障害者が大幅に増加しているのは、18年4月より雇用が義務化されることが影響しているとみられる。
この障害者雇用率の調査は厚生労働省が従業員50人以上の企業8万6648社を対象に6月1日現在で集計されたもの。そして民間企業に対しては従業員の2%以上の障害者の雇用を促進する「障害者雇用促進法」が定められている。この2%を達成することができた企業は44.7%(3万8760社)であり、前年同期より2ポイント上昇した。また従業員1000人以上の企業3122社の平均雇用率は2.05%であり、今回初めて2%を上回ることとなった。
言うまでもないが、誰にも働き社会に参加する権利はある。その当然の権利を守るためにもどんどん大企業を中心に障害者の雇用を行ってほしいと思う。そしてそのためには企業だけでなく、同じ職場で働く人間の理解が不可欠となる。今以上にその「理解」が深まりことを願うばかりである。(編集担当:滝川幸平)