ショッピングセンターや公共施設などにある、「車いすマーク」がついた駐車スペース。障害等を持った人のため、広めの作りで入口付近など便利な位置にある。「ここに停められたら楽だろうな」と思いながらも、社会的な配慮から駐車しない人がほとんどだろう。だが一部には堂々と駐車する人もおり、本当に必要とする人たちが困っている。
車いすマークの駐車スペースは、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称バリアフリー新法)」にもとづき、一定規模以上の施設をつくる際に設置が義務付けられているもの。車いすの利用者だけでなく、高齢者や妊婦も含め病気やケガなどで歩行が難しい人たちのためのスペースであることを示す。
だが「どの程度の健康状態なら駐車してよいのか」といった明確な基準はなく、「短時間なら構わないだろう」と駐車する人が後を絶たないのが現状だ。一方、障害のない人たちからは「他に空きがなく、仕方なく駐車することもある」「歩行に問題がない障害者の人たちも利用していいのか?」などの意見や疑問もあるようだ。
こうした曖昧な点をはっきりさせ、本当に必要な人が障害者等用駐車スペースを利用できるよう、利用許可証を発行する制度もある。06年に佐賀県で初めて導入された「パーキングパーミット制度」だ。一定の申請手続きをとれば、5年または1年未満の有効期限つきで利用許可証が交付される。交付対象は佐賀県の場合、障害者や難病患者、高齢者、妊産婦、一時的な病気の患者などのうち「歩行困難な方」となっている。障害者手帳などがなくても、歩行に問題がある人なら申請できる。
パーキングパーミット制度は現在、全国31府県3市にまで広がっている。とはいえ人々に広く浸透しているとまではいえないようだ。病院やショッピングセンターなどの中には、車いすマークの駐車スペースを目立つ色に塗り替えたり、警告看板を置くなどの対策をとっているところも多い。理想は、許可証やわざとらしい警告看板が必要のない社会であるのは言うまでもない。(編集担当:北条かや)