【日経平均】与党300議席予想でも17912円どまり166円高

2014年12月04日 20:10

 3日のNYダウは33ドル高で2日続けて史上最高値更新。NASDAQは18ポイント上昇した。ECB理事会での緩和期待でヨーロッパ市場は堅調。ADP雇用レポートは市場予測を下回ったが、ISM非製造業景況指数が59.3で市場予測を上回り、ベージュブックも景気懸念を微塵も感じさせない内容だったので終盤にかけて上昇した。IBMは「サイバーマンデー」売上高が全体で8.5%増、モバイル経由は27.6%増と発表。アップルは1.1%上昇。小売株のJCペニーは投資判断を引き下げられ2.7%下落したが、ディスカウンターのTJXはゴールドマンサックスの買い推奨リストに入り1.0%上昇。アパレルのアバークロンビーアンドフィッチは四半期決算がまずまずの内容で3.5%上昇した。4日朝方の為替レートはドル円は円安が進んで119円台後半で120円に接近中。ユーロ円は147円台半ばで円高方向に振れていた。

 新聞各紙朝刊に総選挙での議席獲得予測が載り、自民党または連立与党が「300議席」という見出しが並んだ。これは絶対安定多数で、アベノミクスの恩恵を受ける株式市場にはポジティブ要因。CME先物清算値は17910円。日経平均は161.48円高の17881.91円で始まる。TOPIXも11ポイントを超える大幅上昇。序盤ですぐに17900円にタッチするが、タッチしてもなかなか上値を追い切れず、午前9時15分、CME清算値にさや寄せし「NN倍率=1」の17912円をピークに下落し、9時台はおおむね17830~17860円のレンジで動く。オーストラリアの10月の貿易収支は13億豪ドルの赤字で9月の22億豪ドルから圧縮して市場予測より良く、上海も香港もプラスで始まるが反応薄。ドル円が120円から遠ざかると10時55分に17813円まで下げる。夜のECB理事会待ち、5日夜のアメリカ雇用統計待ちの様子見ムードに加え、ドル円が120円に届きそうで届かなかったことが投資家の心理に微妙に影響していた模様。前引けは17849円だった。

 後場は17860円台で再開するが17800円台後半で動きが乏しくなる。午後1時台の前半にはドル円が再び120円に接近し日経平均も17900円に接近するが、ドル円レートが1時台後半に折り返すとあっさり17850円付近まで下落する。そんな「上値追いに決め手を欠く」状況が続いて2時台も17900円に近づいては離れを繰り返し、後場の日経平均は上下60円程度しか動かない。そのまま大引けになり終値は166.78円高の17887.21円で年初来高値更新。新聞の与党300議席予想に反応してドル円レートが120円に乗せればその勢いで日経平均も18000円にタッチできるかと思われたが、エネルギーを温存したままに5日続伸という見方もできるだろう。日中値幅は99円。TOPIXは+10.85の1440.60で、日経平均ともどもザラ場でも終値でも年初来高値を更新し5日続伸した。売買高は22億株、売買代金は2兆3985億円だった。

 値上がり銘柄は1184で全体の64%を占めた。値下がり銘柄は541。27業種が上昇し6業種が下落した。プラスのセクターの上位はゴム製品、パルプ・紙、空運、鉱業、保険、繊維など。マイナスのセクターの下位は水産・農林、不動産、食料品、陸運、電気・ガス、情報・通信などだった。

 日経平均採用225種は値上がり153銘柄、値下がり65銘柄。プラス寄与度1位はファナック<6954>で+17円、2位は日東電工<6988>で+10円。マイナス寄与度1位は日揮<1963>、2位は三井不動産<8801>で、ともに-1円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>0.3円高、三菱UFJ<8306>0.8円安、三井住友FG<8316>29円高。アメリカ下院エネルギー・商業委員会の公聴会で幹部が「修理部品の増産など、リコールに向けていかなる行動もとる」と発言したタカタ<7312>のエアバック問題をめぐって、「当局が求める全米規模でのリコールに対応する」と表明したホンダ<7267>は73円高。独立した第三者機関を設置して欠陥の原因を分析すると発表し、日米欧の自動車メーカーに共同調査を呼びかけたトヨタ<7203>は138円高で5日続伸し年初来高値更新。世界で最も活気がある北米市場で早く事態を収拾したいのはどこのメーカーも同じ。GM、フォード、ホンダとともにそれに加わる意向と伝えられた各社は日産<7201>18.5円高、マツダ<7261>34円高、富士重工<7270>51.5円高、三菱自動車<7211>4円高。三菱自動車は2016年3月までに全国約700の販売店に24時間利用可能なEV、PHV用急速充電器を設置すると伝えられていた。タカタはリコール対象1000万台にさらに数百万台上積みの見通しで46円安。ホンダは別メーカーからの調達を示唆し、イメージ悪化でチャイルドシートなども売れなくなり先行きが心配される。

 前日は「プレイステーション(PS)」発売20周年で、PSを基盤にゲームの枠を超えたサービスに進出すると報じられたソニー<6758>は47円高。ビジネスユースも含まれるという。4月1日付で本社組織を見直すパナソニック<6752>は6円高、シャープ<6753>は値動きなし、日立<6501>は17.2円高で年初来高値更新、東芝<6502>は2.2円高、NEC<6701>は3円安、富士通<6702>は4.9円高だった。

 日東電工は、日経平均採用銘柄組み入れ前日の昨年9月25日の売買について香港のヘッジファンド、アレイオン・アセットマネジメントに相場操縦の疑惑が浮上し、調査した証券取引等監視委員会は金融商品取引法違反で数億円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告する見通し。利用されただけの日東電工に罪はなく261円高で年初来高値更新。その当日は買い需要が約850億円と推計され、大引け前の大量買いで終値は1000円高で売買代金1位、値上がり率2位だった。需給バランスが大きく偏るインデックス買いのお祭り騒ぎに便乗しようと企んだらしい。

 セイコーエプソン<6724>は約123億円を投資しフィリピンにインクジェットプリンターとプロジェクターの新工場を建設すると発表して10円高で年初来高値更新。インドのチェンナイで建設していた油圧ショベルの新工場で4月から生産を始めるコマツ<6301>は48円高で年初来高値更新。完全子会社での自社生産に切り替え、インドだけでなく将来は中近東やアフリカへの供給拠点にするという。日立建機<6305>も70円高で年初来高値更新。野村證券が目標株価を引き上げていた。打ち上げに成功した「はやぶさ2」は順調に軌道に乗り、H2Aロケットを製造して関連銘柄筆頭格の三菱重工<7011>は売買高15位に入り1.4円高。子会社の三菱日立パワーシステムズがメキシコ電力庁から石炭火力発電設備の増出力工事を受注したと発表していた。

 新日鐵住金<5401>と神戸製鋼<5406>は、お互いの保有株の半分を売却するというニュースがあり新日鐵住金は売買高6位で2円高、神戸製鋼は売買高5位に入り1円高で年初来高値更新。90年代以降に解消が進んでも「株式持ちあい」はまだ残っている。住友大阪セメント<5232>は日経新聞のインタビューで関根福一社長が配当性向は最低でも20%を目安とし2003年以来の自社株買いも検討すると話し株主還元期待で15円高。