東芝、20Mイメージセンサー量産でソニーに挑戦状

2012年12月28日 10:55

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東芝は、コンパクトデジタルカメラで主流となっている1/2.3型の撮影素子サイズで20メガピクセルを実現したBSI(裏面照射)型のCMOSイメージセンサーを開発し、いち早く製品化に成功しているソニーに立ち向かう

 東芝<6502>は、コンパクトデジタルカメラで主流となっている1/2.3型の撮影素子サイズで20メガピクセルを実現したBSI(裏面照射)型のCMOSイメージセンサーを開発し、2013年夏から量産を開始すると発表した。

 ここ最近、コンパクトデジタルカメラは、カメラ機能が高性能になった最新スマートフォンが続々と登場してきたことで、その存在感が薄くなりつつある。再びその価値を高めるためには、スマートフォンには出せない圧倒的に解像度の高い描写を表現し差別化を図る必要性があるとされていた。しかし、ボデイのコンパクトさや軽量性を維持するためには、撮影素子サイズを大型化することはできず、1/2.3型などの小さなサイズでは有効画素を一眼レフカメラクラスにまで高くすることは困難と考えられていた。

 以前からBSI(裏面照射)型のCMOSイメージセンサーを製造し、富士フィルム<4901>などのコンパクトカメラに供給してきた実績を持つ東芝は、業界最小となる画素サイズ1.2マイクロメートルの画素を採用することで業界最高解像度となる20メガピクセルを実現。また、同社独自の画素設計技術とプロセス技術により、従来の16メガピクセルの製品(画素サイズ1.34マイクロメートル)と比較して、飽和電子数が単位面積当たり15%改善したことで、より鮮明な画像を実現することに成功した。

 受光感度が高く、ノイズ発生を低減することを可能にする裏面照射型CMOSセンサーに関しては、ソニー<6758>がいち早く製品化に成功しており、次々に新たな新製品を開発し、カメラ・映像関連商品のイメージセンサーにおいては、高いシェアを維持している。デジタルカメラの撮像素子分野では、これまで裏方的な存在に徹していたイメージがある東芝だが、今回、コンパクトカメラ向けCMOSセンサーの開発販売を強化し、2015年には世界市場シェアの30%を目指すという明確なビジョンを打ち出していることから、コンパクトデジタルカメラ向けイメージセンサーの分野においても、ソニー、東芝、キヤノン をはじめとする国内勢と、米国のオムニビジョンやアプティナ、さらには勢いの増す韓国サムスンなどの海外メーカーとの競争は激化していくことが予想される。

 また東芝は今月の18日に、今後の需要増が見込まれるデジタル一眼レフカメラ向けコンパクトフラッシュカードへの参入を発表するなど、さらなる成長が見込まれるデジタル一眼レフカメラ市場に向けても積極的なスタンスを見せていることから、将来的に大型CMOSセンサーの開発、製品化も期待できるのではないだろうか。(編集担当:北尾準)