臨時給付金カットで増税の負担重くのしかかる

2014年12月28日 16:33

画・臨時給付金カットで増税の負担重くのしかかる

安倍内閣は12月17日、子育て世帯を対象とした臨時給付金を打ち切る方針を明らかにした。臨時給付金は、今年4月に実施された8%の消費税増税に伴う経済対策として導入されたもの。

 安倍内閣は12月17日、子育て世帯を対象とした臨時給付金を打ち切る方針を明らかにした。臨時給付金は、今年4月に実施された8%の消費税増税に伴う経済対策として導入された。増税による子育て世代の負担増を軽減するためと、景気回復を後押しするために消費マインドの冷え込みを避けることが目的だった。支給対象者は2014年1月分の児童手当受給者を基本とし、前年の所得が児童手当の所得制限額以下の家庭の子どもとなった。給付額は子ども1人につき1万円で、総額1,300億円が給付された。給付の際に必要となった事務費などを合わせると、総費用は1,473億円となった。

 子育て世帯の臨時給付金を廃止したのは、10%の増税が当面の間、先送りになったため。財源確保が困難になり、給付金をねん出することができなくなったと政府は説明している。これにより、消費税8%増税後2年目から、増税分の負担を各家庭で吸収し、やりくりしていく必要に迫られることになった。物価上昇の影響も受け、実質賃金の低下を感じている矢先の政府のこの対応に、消費者心理はますます冷え込みそうだ。政府は消費税を再増税したときには、もう一度、子育て臨時給付金について検討するとしているが、実施のほどは不透明である。

 一方、住民税非課税の低所得者に向けて1人1万円が給付されていた低所得者向けの臨時給付金は、来年度も引き続き支給するとした。しかし支給額は6千円まで圧縮される。6千円という数字は、増税による低所得者の負担額を政府が算出したものだが、実質的に低所得者層の生活が厳しくなることは確かだ。食料品など、生活必需品の消費税を低く抑える「軽減税率」の導入も見送られたことにより、増税分の負担は低所得者層ほど重くのしかかり、格差の拡大も懸念されている。

 少子化を解消し、景気の早期回復を目指すというアベノミクスだが、現状を見る限りでは子どもを育てやすい社会になったとはとうてい言えない。議員定数の削減や年間約320億円もの政党助成金を廃止するなど、とるべき節税対策はたくさん残っているはずではないのか。(編集担当:久保田雄城)